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他人に2回頼み事をすると、どうなるか?
2024年03月11日他人に頼み事をするのは、断られた時には精神的にショックを受けるし、応じてもらうと借りを作った感じがして、どちらにしても、苦手な人が多いようです。
そして、頼み事をしても断られる確率の方を高く見積もりがちです。
では、同じお願いを2回した場合において、1回目を断った人が2回目も断る確率はどの程度になるでしょうか。
「人に頼む技術」(ハイディ・グラント著、児島修翻訳)には、次のような実験が紹介されています。
スタンフォード大学のダニエル・ニューアークらが行った実験で、スタンフォード大学の学生を被験者にして、キャンパス内を移動中の見知らぬ人に、1ページのアンケート記入を依頼する、というものであり、それを同じ人に2回頼む、というものです。
彼らは、実験前の予想として、最初の依頼にノーと答えた人が2回目の依頼にイエスと答える確率はどの程度か、という質問を受け、18%と回答しました。
しかし、実験を行ったところ、2回目の依頼にイエスと答えた人は、43%だったそうです。
これは、私達は、他人からの頼み事を断ると、悪いことをしたような心の苦痛を味わうためと考えられています。
2度も心の苦痛を味わいたくないために、2回目の依頼に応じてしまうのだということです。
この結果から学べることは、他人に頼み事をして断られた時には、落ち込むのではなく、「よし。次に何かを頼む時には、応じてくれる確率が上がるな」と前向きに捉えることが可能となる、ということです。
はじめに大きな要求をして断らせ、その後に本来の要求をすることでイエスと言いやすくなるという、「ドア・イン・ザ・フェース・テクニック」は、この性質を利用したものです。
では、反対に、1回目の依頼にイエスと答えた人は、2回目の依頼には、イエスと言わなくなるのでしょうか。
そうはなりません。1回目にイエスと答えた人は、2回目もイエスと言いやすくなった、ということです。
これは、心理学の一貫性の法則に基づくものです。
一度依頼に応じたら、「依頼に応じた自分」というアイデンティティが出来上がるので、それと矛盾する「ノー」をなかなか言えなくなる、ということです。
ですから、他人の助けが必要な時には、臆することなく頼み、応じてくれたら感謝し、拒絶されたらまた頼む、ということで依頼に応じてもらえる確率が上がる、ということです。
但し、何でもかんでも他人に頼めばいいというものではありません。
相手がイエスと言ってくれれば本当に助かることで、かつ、できれば相手も他人を助けたことでポジティブな感情になるようなことを、そうなる頼み方で頼むようにしましょう。
また、イエスと言ってくれた時には、感謝の言葉も忘れずに。
自分も嬉しく、相手も嬉しいのが、真の「頼み道」です。
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質問の抽象度を上げると?
2024年03月04日質問には、質問された人の思考を方向づける力があります。
よく挙げる例として、「どうしてこんなことができなかったんだ?」と質問されると、「できなかった理由」について考え始めます。
しかし、「次回、どう準備すればうまくいくと思う?」と質問されると、次回の準備について考え始めます。
この他、質問の抽象度によっても考える方向性が変わってきます。
私達は、何かを考える時、自分に対して質問します。
例えば、「能登半島を早く復興させるには、どうしたらいいだろう?」というような質問を自分にします。
この抽象度をさらに抽象的にすると、「能登半島の人たちが不自由なく日常生活を送れるようにするためには、どうしたらいいだろう?」というような質問になります。
復興はそのための手段になってきます。
具体性を高くすると、「能登半島の漁業をできるだけ早く再開させるには、どうしたらいいだろう?」というような質問になります。
そして、今の3つの質問は、自分にどの質問をするかによって、自分の思考が方向づけられ、同じテーマで考えてはいますが考える内容が異なってきます。
したがって、私達は、自分に質問する場合には、思いついた質問をするのではなく、一つの質問を思いついたら、それを
・オープンクエスチョン、クローズドクエスチョンにする。
・ポジティブな質問にする、ネガティブな質問にする。
・抽象度、具体度を上げる。
など、試してみて、最も最適な質問にすることが望ましい、ということになります。
質問力は、深いですね。
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セルフブレインストーミング
2024年02月26日ブレインストーミングという創造的な発想を促す方法があります。
何人かでどんどんアイデアを出し、他人のアイデアを否定せず、最後に出てきたアイデアから結論をまとめていく、というようなものです。
ブレインストーミングは創造的な発想を生み出すのに有効だという意見がある一方、社会心理学者のミヒャエル・ディールとウォルフガング・シュトレーベの研究では、創造的なアイデア発想の効果は否定されています。
4人グループで各自が個別にアイデアを出すグループと、グループセッションでアイデアを出し合ったグループとでは、個別にアイデアを出したグループの方がアイデアの総数や創造的なアイデアの数がかなり上回ったということです。
私もブレイン・ストーミングは行いません。
ただ、ブレイン・ストーミング類似の思考法は使っています。
私の場合には、交渉の準備段階で使います。
交渉の準備をする際に、自分の側で取りうる手段や条件について、1人ブレイン・ストーミング(1人なので、もはやブレイン・ストーミングではありませんが)をします。
自分の側で取りうる手段や条件をできるだけたくさん出して、どのような状況で、どの手段や条件を出すか、また、どう組み合わせるか、などを検討します。
また、相手の立場に立って相手の側で取りうる手段や条件について、1人ブレイン・ストーミングをします。
その上で、相手がどのような状況で、どの手段や条件を出すか、また、どう組み合わせるか、などを想像して想定しておきます。
そして、そのような場合に、自分の側では、どう対処するか、について検討します。
交渉では、相手から想定外の主張や条件が出され、ドギマギすることがあります。
しかし、このようなブレイン・ストーミングをしておくと、かなりのことが想定内となり、対処可能となって、落ち着いて交渉に臨むことができます。
行き当たりばったりで交渉に臨んでいた人は、一度試してみていただければと思います。
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諦めない弊害
2024年02月19日私達は、目標ややるべきことなど、前向きなことに目を向けがちです。
しかし、他方、「やめるべきこと」に目を向けることも大切です。
心理学者であるカーステン・ロッシュは,癌を患った子どものために治療法を探している親を対象に、研究を行ったそうです。
研究結果は、子どもの癌を治そうという目標に向けた決意が固い親ほどうつ病になりやすいことがわかったということです。
反対に、目標を変えたり諦めたりする能力が高い人のほうがうつ病になる確率は低かったということです。
達成不可能だとわかっていながら努力を続けるとストレスを感じ、コルチゾール値が高くなり、免疫機能も低下する、ということです。
反対に目標を断念した人は、身体的、精神的によい状態にあることに気づいたそうです。
やめるべきかどうか、悩んでいる人は多いと思います。
・今の仕事をやめるべきか。
・店を閉めるべきか。
・配偶者、恋人と別れるべきか。
・夢を諦めるべきか。
そのようなやめるべきかどうかを悩んでいること自体が精神と健康に悪影響を及ぼすということです。
これは、認知的不協和が生じているからと考えます。
認知的不協和とは、自分の思考や行動と矛盾する認知を抱えていると、人は不快感を感じるというもので、人は、その不協和状態を解消しようとします。
先程の例では、子どもの癌を治すという目標を持っていながら、それができない現状とのギャップにストレスを感じ、それがうつ状態を引き起こした、ということです。
しかし、夢や目標に向かいながら、ストレスを感じることなく、突き進んでいる人もいます。
この場合、夢や目標と現状との間にギャップがあるわけですから、ストレスを感じそうなものです。
しかし、この場合には、認知的不協和はありません。
なぜなら、この人は夢や目標を達成できると信じているからです。
現在は、その過程にあると認識しており、夢や目標と現状が一本の線でつながっており、認知的不協和状態が生じていない、ということです。
ですから、やめるべきかどうか悩んでいる時は、あるべき姿と現状との間が一本の線でつながっていることを信じることができるのであれば続け、信じることができないのであれば綺麗さっぱり諦める、というのがストレスを感じることなく生きるコツ、ということになります。
但し、そのためには予断を排した冷静な現状分析が必要となります。
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失敗から学ぶとはどういうことか?
2024年02月12日物事を失敗するのは嫌なものです。
しかし、失敗に関する名言が多く存在します。
ビル・ゲイツ氏は、次のように言っています。
「成功を祝うのもいいのですが、もっと大切なのは失敗から学ぶことです」
これは、「失敗することがいいことだ」と言っているのではなく、失敗に対する対処が大切だ、と言っていることに注意が必要です。
失敗に対してどう対処するかによって、成長できるかどうかが決まります。
心理学に認知的不協和解消理論というものがあります。
これは、正確ではなく簡単に言うと、自分の中に矛盾(不協和状態)がある場合には、どちらかを修正することによって不協和状態を解消しようとする心理のことです。
「成功したい自分」と「失敗した自分」がいる時に、この不協和状態を解消します。
失敗に対するマインドセットは2つに分けられます。
一つは、「固定型マインドセット」で、もう一つは、「成長型マインドセット」です。
固定型マインドセットは、知性や才能は生まれ持ったものであり、ほぼ変えることができないと信じているマインドセットです。
これに対し、成長型マインドセットは、知性も才能も努力によって伸びる、と信じているマインドセットです。
「成功したい自分」と「失敗した自分」がいる時に、固定型マインドセットは、知性や才能は生まれ持ったものですから、自分の才能では成功できないことを前提とします。
つまり、成功を修正し、失敗の方に統一させ、不協和状態を解消します。
「自分には才能がないから失敗するのも当然だ」「こういうのはもともと苦手で成功するはずがない」などの心理状態となり、努力を放棄します。
これに対し、成長型マインドセットは、知性も才能も努力によって伸びるわけですから、失敗を修正し、「どうやったら成功できるか」という心理状態となり、努力を続けます。
先程のビル・ゲイツ氏の「成功を祝うのもいいのですが、もっと大切なのは失敗から学ぶことです」という言葉は、失敗した時に、成長型マインドセットを持って失敗から学び、成功に向かって努力することが大切だ、と言っているものと思われます。
マイケル・ジョーダン氏の次の言葉も、同じことを言っているものと思われます。
「私はキャリアを通じて9000回以上シュートを外し、300試合に敗れ、決勝シュートを任されて26回も外しています。人生で何度も何度も失敗したからこそ、今の成功があるんです」
挑戦することが大切だと言われますが、固定型マインドセットのままでは、まぐれでしか成功しません。
まずは、成長型マインドセットです。
しかるのちに、物事に挑戦するようにしましょう。
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質問力で大食いに。
2024年02月05日私は少食です。
どのくらい少食かというと、牛丼並を完食できないくらいです。
そのため、たくさん食べられる人が羨ましく、You Tubeで大食いの番組を観て楽しんでいます。
一昔前の大食いのレジェンドに小林尊氏がいます。
身長173cm、体重58kgで、ウィキペディアによると、FOXスポーツネットにおいて、マイク・タイソンやロジャー・フェデラーらと共に、「スポーツ界で最も恐れられている選手10人」に選出されたそうです。
彼が始めて大食いの大会に出たのは、ニューヨークで開催されていたホットドッグの早食い大会で、12分間に何個のホットドッグを食べられるか、というもの。
彼は、優勝するために次のような訓練をしました。
それまでの優勝者は、ホットドッグをそのまま食べていましたが、彼は、まずホットドッグを2つに割って食べてみました。
次に、ソーセージとパンを分解し、別々に食べてみました。
色々な方法を試し、パンを水に浸して食べたりもしました。
パンを水に浸すと、胃袋に余分な水分が入るかもしれませんが、反対に喉が乾かなくなり、別途水を飲む必要がなくなるメリットがありました。
一見、デメリットに思えることも全て試した、ということです。
そして、それら訓練の様子をビデオに撮影し、データを全部スプレッドシートに記録して、1秒単位で記録を伸ばす方法を模索しました。
その結果は、どうだったか。
それまでの記録は、12分間で25本と8分の1でした。
彼の記録は、なんと50本。
世界記録の約2倍です。
マラソンで言えば、世界記録の約2時間を1時間で走ってしまうというイメージであり、世界を驚かせました。
彼の成功の秘訣は、2つあると思っています。
一つは、質問です。
それまでの出場者は、「ホットドッグをたくさん食べるには、どうしたらいいか?」という質問をしました。
しかし、彼は、「ホットドッグを食べやすくするには、どうしたらいいか?」という質問をしました。
質問の抽象度レベルを下げた、ということです。
ホットドッグをたくさん食べられない理由は、「食べにくさ」にあると考えたためです。
そして、あらゆる方法を試しました。
これは、質問力の第二の力、「質問は、思考の方向を強制する」を使っています。
質問の仕方で、その後の思考の方向がガラリと変わるのです。
2つ目は、あらゆる小さな方法を徹底的に試して結果を検証する、ということです。
一見、デメリットがありそうなことも、意外なメリットがあったりします。
偏見にとらわれず、試してみて、記録し、結果を検証することです。
これは、大食いに限りません。
仕事でも、プライベートでも、あらゆることに応用ができるはずです。
但し、自制心が強く、ストイックになれるならば、という条件がつきますが。
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あと一歩を。。
2024年01月29日弁護士の仕事は、「これで十分」というものがありません。
民事事件で言えば、
・依頼者の話をどこまで詳しく聞くか
・証拠をどれだけ集め、どこまで読み込むか
・法律や判例をどこまで調べるか
・訴状や準備書面などの文章をどこまで練るか
・証人尋問の質問内容や順番などをどこまで詰めるか
など、やろうと思えばいくらでもできてしまいます。
そして、時間を使えば使うほど、良い結果に結びつきます。
しかし、私達は怠惰にできています。
勉強もそう。仕事もそう。
どこかで「これでいいや」となりがちです。
成功する人は、ここが違います。
多くの鉱山を経営し、「鉱山王」と呼ばれた古河市兵衛は、「成功に極意はない。私の場合は、ただ他人が掘ったあとをもう一間ずつよけいに掘っただけだ」と言っています。
ほんの少しでも他人より努力することを続けるだけで大きな差が出る、ということです。
吉田松陰は、次のように言っています。
「一日一字を記さば一年にして三百六十字を得、一夜一時を怠らば、百歳の間三万六千時を失う」
自分の怠惰と向き合い、あと一歩の努力を続けたいと思います。
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量が質を凌駕する。
2024年01月22日私達は、失敗を恐れ、始めから完璧で失敗のない方法、作品、商品を選択しようとします。
しかし、その結果は、どうでしょうか。
完璧な方法などはなく、何らかの欠陥、失敗があります。
では、どうすればいいでしょうか。
こんな実権があります。
陶芸クラスで、生徒を2つのグループに分け、一方は作品を「量」で評価し、他方は作品を「質」で評価すると告げられました。
量のグループは、作品を多く出すほど評価されることになりますので、多数の作品を提出しました。
質のグループは、作品を1つだけ提出しました。
その結果は、質の高い作品を提出したのは、「量」のグループだったそうです。
質のグループは頭で考えてばかりいて、試行錯誤をしませんでしたが、量のグループは、試行錯誤し、失敗をし、そこから学んで改良を加えていった、ということです。
ピカソは2000点以上の絵画を残したと言われていますが、現在高い評価を得ているのは、その中のいくつかです。2000点の全てが高い評価を得ているわけではありません。
モーツァルトは600以上の作曲をしたと言われていますが、やはり、その全てが高い評価を得ているわけではありません。
世の中の動きを「毎回」正確に言い当てる人はいません。
テレビの解説者は、たいてい後付けで理由をつけて解説しているだけです。
私達は、世の中のことをわかっているつもりですが、実は、ほとんどわかっていません。
自分の無知からスタートしなければなりません。
ですから、いい仕事をしようとしたら、いい作品を作ろうとしたら、完璧を待たずに、すぐに動き、テストし、試行錯誤し、失敗し、そこから学んでいくことが大切だと思います。
私も、もう中高年ですが、その精神で進んでいきたいと思います。
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誤りを認められるか
2024年01月15日あなたは、自分が絶対に正しいと信じていたことについて、自分が間違っていたことが明らかになった場合、それを認めることができるでしょうか。
これは、なかなか難しい問題です。
あるカルト集団の教祖が、1954年12月21日に大洪水が発生して夜中に宇宙船が現れ、信じる者だけを救ってくれる、という予言をしました。
信者達は、この予言を信じて、教祖と共同生活を送っていました。
ところが、同日になっても、宇宙船は現れませんでした。
信者は、どうなったか。
「教祖の予言ははずれた。神とコンタクトできていないのだ」と悟ったでしょうか。
実は、そうはなりませんでした。
信者達は、より一層教祖を信じるようになり、「神は第二のチャンスをくれた。私達が世界を救った」などと考えるようになったそうです。
つまり、予言がはずれた時、それによって「自分の考え」を変えるのではなく、「事実の解釈」を変える方法を選んだ、ということです。
「自分が間違っていた」とは考えず、「予言がはずれたということは、神がチャンスをくれたのだ」と解釈を変えた、ということです。
この様子を観察していたのが、心理学者のレオン・フェスティンガーです。
なぜ、自分が間違っていたことを認められないか、というと、自尊心が傷つくからです。
自己否定につながってしまうからです。
一度ある主張をした場合に、後で間違いに気づいてもなかなか撤回できないのと同様です。
しかし、自分の間違いを認めなければ、正しい判断ができませんし、誤った信念に基づいて行動している時間を浪費していることにもなります。
勇気を持って、自分の誤りを認めることができる人間になりたいものです。
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他人のために限界を超える
2024年01月08日私達は、普段、自分の限界を超えようとする場面はほとんどありません。
私は筋トレが趣味なので、毎回、自分の限界を超えようと頑張っていますが、それ以外の場面ではほとんどありません。
仕事で自分の限界を超える、勉強で自分の限界を超える、家事で自分の超える、こんな場面はほとんどないでしょう。
それに対して、スポーツ競技においては、多くの選手が自分の限界を超えようと日々努力しています。
そして、それに成功した選手が優勝や金メダルを手にします。
では、自分の限界を超えるためには、どんな心理状態が必要なのでしょうか。
これについては、スポーツの優勝者、金メダルを獲得した選手達のコメントが参考になります。
彼らの多くは、「自分のために頑張りました」とは答えません。
2015年の1500メートル走で大会記録を樹立したアシュトン・イートンは、「どこかでソファに座っている子供が、大会記録を破るぼくの姿を見て、自分も何かをやってやろうと思うんじゃないか」と答えています。
2022年東京オリンピック、競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した池江璃花子選手は、「このメダルは、私の努力だけでなく、多くの人の応援のおかげです。本当に感謝しています。」と答えています。
多くの優勝者は、他の誰かのおかげであるとコメントしています。
私は、かつて、これは建前だ、周りから助言されたんだ、と思って聞いていました。
しかし、実は、そうではない、と思います。
自分のためだけでは、大きな力を発揮することはできないのではないか、誰か他の人のために頑張るからこそ、自分の限界を超えられるのではないか、ということです。
だから、大きな力を発揮し、優勝できたのではないか、ということです。
この点は、今後、誰かが研究で明らかにしてくれると思います。
ペンシルベニア大学ウォートン校の研究者達は、病院の便器や床を掃除する仕事の人達に、「あなた達が病院を清潔に保ってくれるおかげで雑菌の繁殖を最小限に抑え、抵抗力の弱い患者たちが守られているのだ」と話したところ、仕事に対する満足感がアップしたといいます。
私達も、つまらないこと、辛いこと、限界を超えたい時、などには、自分のことだけでなく、他人のため、他人の役に立っているのだ、と考えることにより、モチベーションをアップさせることができるのではないか、と思います。
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