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やり忘れの防止
2004年11月23日仕事でも普段の生活でもそうですが、「あ、あれをやらなきゃ。」と思う瞬間があります。しかし、その時にやっていることを終えてからだと、すでに何を思いついたのか忘れてしまっていることがあります。「あっ、忘れてた。あの時思いついたのに。」というやつです。このときは悔しいですね。 そこで、そういうやり忘れを防止するため、「思いついた時に即やる」方針で事に臨んでいます。出来る限り思いついた時に即やるのです。「後でやろう。」と考えていると、いつまでたってもできないことは皆さんも経験済みだと思います。
そして、「即やれば」意外と早く済んだりします。
仕事でも嫌なことは後回しにしがちですが、なるべく「即やる」ように心がけています。 -
交通事故と年金
2004年11月22日福井県で高齢者の交通事故死が相次いでいるそうです。(記事)
一般に、交通事故で死亡した場合の民事損害賠償は、葬儀関係費用、本人分の慰謝料2,000万円~2,800万円(相続人に相続されます)、近親者の固有の慰謝料数百万円、逸失利益(簡単に言うと事故がなければ得られたであろう利益)等が損害賠償として認められます。
高齢者の場合、慰謝料は基準の中でも低い基準である2,000万円~2,200万円くらいに落ち着くケースが多いようです。慰謝料は、精神的苦痛を慰謝するものですが、命を奪われる精神的苦痛は年齢によって変わるのでしょうか。
問題は、逸失利益で、働いていない場合には、得られるであろう給与等がなく、年金等は死亡すればなくなるのであるから、逸失利益はないのではないか、という議論があります。
しかし、判例の傾向としては、就労してなくてもその蓋然性があれば、就労による逸失利益を認め(但し、働ける期間が短いはずなので減額したりしています。また、その間のかかるであろう生活費の控除で調整されたりします。)、年金についても、老齢年金のように給付が本人だけでなく親族の生活保障目的もあるものや、障害年金のように保険料の支払いがあって年金給付が対価性のあるものは認める傾向にありますが、軍人恩給の扶助料や遺族厚生年金については、本人の本人のみの保障を目的とするものであり、逸失利益とは認められない傾向にあります。
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締め切り
2004年11月21日今日は、今週発行予定のメルマガ「弁護士がこっそり教える絶対に負けない議論の奥義」の原稿を書きました。当初は、どんどん書き溜めておこうと考えていたのですが、なかなか甘くありません。毎回ぎりぎりになりそうな予感。
事務所に行ったら大量のファックスが来てました。法律的にお困りの方に土曜、日曜はないのですね。
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昼食
2004年11月20日ここ数日、仕事が忙しく昼食が取れません。弁護士というと、「優雅にレストラン等で昼食をとっているのでは?」とたまに言われることがあります。しかし、現実には、朝から夕方までバタバタしていて、決まった昼休みもありませんし、昼食もゆっくりとれません(人によるかもしれませんが)。
昔、給料をもらって他の弁護士事務所に勤務していたときは、事務所に寝袋を常時置いており、泊り込みで仕事をしていました。今は、私専属の弁護士も雇っているので、そんな無茶はしていませんが、やはり日中は息を抜く暇がありません。
今日は土曜日なので、電話もなく、ゆっくり仕事です。
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検察審査会、交通事故と時効
2004年11月20日2001年10月、大阪で大学生のバイクと大型トラックが衝突し、大学生が死亡した事故で、堺検察審査会(大阪府)は19日までに、トラックの運転手を不起訴とした大阪地検堺支部の処分を「不当」と議決したそうです。(記事)この議決により、検察庁は、この事件について再捜査しなければなりません。検察審査会は、検察庁が捜査をした事件で不起訴処分にした事件について審査をし、その事件を起訴すべきだったと判断したときに「不起訴不当」として、再捜査を求めることができる機関です。「検察審査会法」という法律で認められています。そのままの名前です。。ところで、この事件は、2001年10月で、事故からすでに3年2ヶ月を経過しています。刑事事件は良いのですが、民事の損害賠償の時効は3年です。そちらは大丈夫かな、とふと思いました。ちなみに、自賠責保険に対する被害者請求の時効は2年です。重傷事故は治療が長期化しますので、時効が心配な時は時効を中断しておかなければなりません。 -
仕事中出会い系サイト解雇無効
2004年11月18日久留米工業技術専門学校(福岡県広川町)の50代の元男性教師が学校のパソコンを使って勤務中に出会い系サイトを利用していたとして、学校側は、平成15年9月に同教師を懲戒解雇しました。同教師は解雇無効を争って提訴。福岡地裁久留米支部は、17日、解雇無効を認め、学校法人・久留米工業大学に15カ月分の給与など約1000万円の支払いを命じました。解雇を無効にした理由としては、「仕事に支障は来しておらず反省もしており、懲戒解雇は過酷すぎる」ということです。懲戒解雇は解雇予告手当も出ない最も厳しい懲戒処分です。懲戒処分は(1)懲戒事由が就業規則に明記されていること、(2)先例と平等な取り扱いがなされていること、(3)懲戒処分の程度が相当であること、(4)適正な手続で行われること(弁明の機会が与えられること等)、という要件が必要です。そして、懲戒解雇は、最も思い懲戒処分ですから、重大な企業秩序違反がある場合にのみ認められます。これらの要件が満たされない場合には、解雇権の濫用として解雇が無効となります。そして、判決で1,000万円という多額の支払いが命じられたのは、解雇された場合には、出勤は停止され、給料も支払われませんが、解雇が無効だとすれば、ずっと社員としての身分があったことになり、解雇から判決が出るまでの間の給料が支払われるべきだ、との考え方によります。したがって、訴訟が長引いた末に解雇無効と判断されれば、それだけ多額の支払命令がなされることになります。本件では、その他に慰謝料請求がなされてかどうかは不明です。確かにこの教師の行為は、服務規律違反で許されるものではありません。しかし、いきなり懲戒解雇というのはいきすぎのような気がします。 -
健康診断
2004年11月18日昨日、健康診断で、初めてバリウムというものを飲みました。すごい重い飲み物で、「こんなものを飲んで人体は大丈夫なのだろうか。」と本気で思いました。これまでほとんど健康診断は受けなかったのですが、36歳にもなると、健康にも気をつかうようになりますね。
あと、びっくりしたのが、視力検査をコンタクトレンズをつけたまま平気で行ったことです。これまで視力検査は裸眼でテストするものだと思っていました。意味がわかりませんでした。「もっと矯正した方がいいですよ。」とアドヴァイスするのでしょうか。
弁護士は個人の信用でクライアントがつきますので、倒れたらおしまいです。そのためにも、今後も健康には気をつけたいと思っています。
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法律事務所正面玄関
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メルマガ創刊号
2004年11月18日まぐまぐで送信したメールマガジン創刊号を掲載します。
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~弁護士と議論術~
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弁護士の谷原誠です。私が弁護士になったのは25歳の時で現在弁護士11年目です。25歳で弁護士になったときは、相手の弁護士にはナメられるわ、依頼者には不安がられるわ、で、大変苦労しました。そこで、私は、ナメられないため、議論術の研究をしました。「実力で勝てば問題ないだろう!」という思いからです。
弁護士法の第1条は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と謳っています。弁護士は、カネばかり追いかけていてはいけないということです。
しかし、本当のことを言うと、特に民事の裁判というのは真実を発見する場ではなく、正義が実現されるとは限りません。原告と被告とが、自分の権利を守るため、あるいは自分に利益があるように、有利な証拠のみを提出し、有利な証言をします。残念なことではありますが、裁判を行ったからといって必ずしも真実が明らかになるわけではないのです。
私たち弁護士は、知識の限りを尽くし、またこれまでに培った議論術を総動員して、依頼者の利益を最大限に達成するために戦っています。議論で負けているようでは、依頼人の利益は確保できません。サムライに例えると、弁護士にとっては、言葉とペンが刀であり、議論術が剣術に相当するものです。したがって、常に議論術(剣術)を磨いていなければ一流の弁護士にはなり得ないのです。
私は現在も議論術を研究し、駆使して相手方弁護士と日々戦っています。私は、30歳の時に、「他人を意のままにあやつる方法」(KKベストセラーズ)を著しました。ここでも一部議論術に触れています。しかし、その後も議論の研究は進んでいます。
そこで、私がこれまでに蓄積した議論術の成果を今度はメールマガジンで発表していきたいと思います。この議論術をマスターすれば、弁護士と互角に議論ができるでしょう。
議論に負けないテクニックは誰もが身に付けておく必要があります。例えば、あなたが道を歩いていて、ヤクザ風の男に「何ジロジロ見てんだ!イチャモンつけてんのかっ!」とインネンをつけられたら、どうしますか?うまく切り抜けることができますか?
「いえ、イチャモンなんかつけてません。」と答えますか?そんなことを言うと「じゃあ、なんだ!俺の顔になんかついてんのかっ!」と追い込まれ、「ついてません。」と答えると、「じゃあ、てめえ、なんだんだっ!俺に喧嘩売ってんのかっ!上等じゃねえか!」と追い込まれていきます。
ここで、「いえ、喧嘩なんか売ってません。すみませんでした。」と謝るとどうなるか。「てめえ、俺の足を止めさえておいて、そんな詫び方で済むと思ってんのかっ!」と、更にどんどんと追い込まれていき、迷惑料まで取られかねません。
しかし、このような場面も、議論のテクニックを身につけると、追い込まれずに済むようになります。(ただし、議論に勝ってしまうので、殴られないように気をつけてください。)
次回から、具体的な議論のテクニックを展開する予定です。
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交通事故SOS~保険会社の言いなりになるな~
交通事故被害者のためのホームページ
http://homepage2.nifty.com/jiko/
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みらい総合法律事務所
発行者がパートナーとして共同経営している法律事務所
http://www.mirailaw.jp/
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■発行者 谷原誠(マガジンID:0000143169)
■連絡先 ≫ makoto-t@cam.hi-ho.ne.jp
■ホームページ ≫ http://www.cam.hi-ho.ne.jp/makoto-t/
■登録&解除 ≫ http://www.mag2.com/m/0000143169.htm
■まぐまぐ≫http://www.mag2.com/ -
破産と交通事故の謝罪について
2004年11月17日私が破産管財人をしている破産事件で、債権者集会がありました。東京地裁の破産管財事件では、破産宣告の後、3ヶ月くらいで債権者集会を開きます。出席者は、裁判官、破産管財人、破産者、破産者代理人弁護士、債権者です。集会では、破産管財人が破産宣告後に行った職務、破産者の財産をどのように処分して財団を形成したか、その他特に説明すべき事項について報告をします。その後質疑応答等があって、届出債権についての認否をし、配当について説明が行われます。破産手続については、かなり認知されてきておりますので、騒ぎになることはほとんどありませんが、たまには怒号があったり、泣き崩れる人がいたり、等のドラマもあります。債権者としては、もちろん債権を回収できないことが一番悔しいところですが、怒りの発生源としては「謝罪の一言もない」という点が多いようです。弁護士に任せてしまって、謝らない人が多いのです。破産すると、債務のほとんどを踏み倒してしまうことになりますから、一言謝罪してまわるくらいのことはしても良いのではないか、と思います。破産は、支払う約束を反故にすることです。約束を破ったときに謝るという普通のことができれば、破産手続もずっとやりやすくなります。法的手続と謝罪問題は別問題です。交通事故でも同じです。加害者は、保険会社に任せてしまって謝罪をしない人がいますが、それが被害者の怒りを増幅させ、示談を困難にします。賠償問題と謝罪の問題は別問題なのですが、怒りは理性的判断を阻害します。怒りのために賠償問題と謝罪問題を分けることができなくなるのです。謝罪により賠償金額がそれほど変わるわけではありませんが、本来なら示談で終わるケースも最後までとことん争ったりします。加害者としては、怒りをぶつけられますから、謝罪しにくいのでしょうが、加害者が誠意をもって謝罪していれば、ずっと示談もしやすくなります。それが、加害者、被害者双方のためになるのではないか、と思います。