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コンプライアンス本はこの1冊
2007年06月17日当事務所の西尾孝幸弁護士が、企業のコンプライアンスに関する書籍を出版致しました。
かなり濃い内容であり、現在の法化社会の分析と今後の対策が書かれています。
ぜひ、貴社のコンプライアンスにお役立てください。
社長!その対応はコンプラ違反です!―もう「バレなければOK」では済まされない!
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改正道交法施行は9月
2007年06月15日改正道交法が2007年6月14日に、成立しました。主な改正点は、以下のとおり。
【酒酔い運転の罰則上限】
現行→「懲役3年または罰金50万円」
改正→「懲役5年または罰金100万円」【酒気帯び運転の罰則上限】
現行→「懲役1年または30万円」
改正→「懲役3年または罰金50万円」【ひき逃げの罰則上限】
現行→「懲役5年または罰金50万円」
改正→「懲役10年または罰金100万円」その他、飲酒運転への車両や酒類の提供に対する罰則などもあります。
近時、「危険運転致死傷罪」で懲役上限20年という長期の懲役刑が定められたことにより、この罰則適用を回避するため、飲酒運転者による「ひき逃げ」がニュースで報道されたりしていました。
酒に酔って運転していたことによって「危険運転致死傷罪」が適用されるよりは、酒酔いがばれないように「ひき逃げ」をした方が罰則が軽かったためです。
しかし、今回の道交法改正により「ひき逃げ」に対する罰則が強化されたことにより、「ひき逃げ」に対する一定の抑止効果は期待できるものと考えます。それでも危険運転致死傷罪との罰則の差はありますので、まだしばらく飲酒事故の場合の「ひき逃げ」が増える予感がします。
刑罰の均衡と犯罪抑止を図るような法改正を望みます。
ちなみに、「ひき逃げ」の場合、民事の損害賠償においても慰謝料を増額させる事由になります。
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自動車運転過失致死傷罪施行
2007年06月12日2006年6月12日、自動車運転過失致死傷罪を盛り込んだ改正刑法が施行されました。
これまで、自動車を運転して、脇見などの不注意により、交通事故を起こした場合には、刑法211条の「業務上過失致死傷罪」が適用されていました。法定刑は、5年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金です。
ところが、近時、悪質な交通事故や、川口園児4人が死亡したような悲惨な交通事故の発生により、交通事故に対する厳罰化を要請する国民の声が高まったことや、交通事故の加害者に対する判決が法定刑の上限に近いものが多くだされ、科刑上の是正が要請されてきたことなどの理由により、自動車事故に対する刑罰の見直しが議論されてきました。
その結果、業務上過失致死傷罪のうち、自動車事故によるものを抽出して、「自動車運転過失致死傷罪」として規定し、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金として重罰化しました。
個人的な見解ですが、できれば7年ではなく、10年にして欲しかったと思います。窃盗罪や詐欺罪などの財産犯は、懲役10年以下という法定刑が定められています。人の命の重さを考え、せめて財産犯と同等の重さの刑罰にしてほしかったと思います。
この刑法改正によっても、自動車事故の減少という要請は満たされないでしょう。なぜなら、自動車事故の加害者は、まさか自分が加害者になるなどとは思ってもいないでしょうから。
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再生計画案可決
2007年06月12日昨日は、珍しく地方出張でした。
私たちが申立代理人を務める会社の民事再生申立事件の債権者集会が開催され、民事再生計画案が賛成多数で可決されました。
債権者の皆様には、多大なご迷惑をおかけしましたが、多数の債権者の皆様にご協力いただき、無事可決することができました。ありがとうございました。
破産というのは、ご存じの方が多いと思います。事業を完全にストップさせ、その時点で存在する会社の財産をお金にして、そのお金を債権者に分配し、会社を消滅させる制度です。
これに対し、民事再生というのは、事業の再生を目的とします。但し、会社の再生ではありません。自主再生の場合には、会社が再生することになりますが、他の会社に対して事業を譲渡して、元の会社を清算してしまう場合もあります。その場合、元の会社は消滅してしまいますが、「事業」自体は他の会社で再生するので、民事再生の対象になります。
通常、弁護士のところにご相談にいらっしゃるのは、会社の末期症状においてですが、早ければ早いほど打つ手が多くありますので、早め早めにご相談なさることをお勧め致します。
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個人情報保護法改正見送り
2007年06月11日個人情報保護法を見なす検討を内閣府の国民生活審議会個人情報保護部会がしていましたが、今回、改正を見送る意見書の最終案が出されたそうです。
焦点は、地域や学校で名簿、連絡網などが作れないといった過剰反応の問題だったそうです。
しかし、そもそも過剰反応の問題は、法律の正確な解釈を社会に浸透させることができなかったことが原因であって、法律を改正するかどうかを検討するべき問題ではありません。
むしろ問題は、過剰反応の問題ではなく、事業の遂行上必要な第三者への個人情報の提供について、条文の解釈によっては難しい問題がある、という点にあります。
法律ではありませんが、厚生労働省の作成した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)
には、次のような記述があります。たとえば、病院に見えた面会者に病室を教えてよいかどうかに関し、「その人が入院・入所していることを前提に面会に見えていることが確認できるときに、院内の案内として教えることは問題とならないと思われますが、入院・入所の有無を含めた問い合わせに答えることについては問題となる可能性があります。」
つまり、「谷原さんの病室はどこですか?」と面会にきた人は、「その人が入院・入所していることを前提に面会に見えている」ので病室を教えてよくて、「谷原さんは、入院していますか?入院しているならどこの病室でしょうか?」という場合には、「入院・入所の有無を含めた問い合わせ」なので、これに回答することは問題になるそうです。
入院していると聞いて面会にきている場合でも「谷原さんは入院していますか?」と尋ねるのはふつうでしょう。このような基準をたてること自体、混乱を招くことになるような気がします。
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強力な弁護士加入!
2007年06月07日7月から、新しい弁護士が入所しました。
吉岡裕貴弁護士です。
入所前は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所という弁護士210名を擁する巨大法律事務所で勤務していました。
ちなみに体も巨大です。
これで、弁護士数は、8名となりました。
より高いレベルの法的サービスを提供できるよう頑張ります
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スピード仕事術
2007年06月06日日経BP社刊の「できる人のスピード仕事術」に取材記事が掲載されました。
以前に日経ビジネスアソシエに掲載された内容ではありますが、交渉と話法についてです。
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姉死亡で妹に慰謝料
2007年06月03日水戸市で2002年11月、ダンプカーにひき逃げされて死亡した被害者(当時10歳)の両親と妹が、起こした損害賠償訴訟で、水戸戸地裁が一緒にいて事故を目撃した妹(12歳)にも慰謝料400万円の支払いを命じたとのことです。
ニュース
原告代理人は、民法には兄弟姉妹の慰謝料請求権を認める明文規定がなく、認められたのは異例とのコメントを残しています。民法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。 」
ここに兄弟姉妹は入っていないということです。
しかし、交通事故の損害賠償訴訟では、過去、やはり妹に50万円の慰謝料を認めた神戸地裁平成13年8月10日判決や、同居の祖母に慰謝料200万円を認めた大阪地裁平成15年9月24日などがあり、「異例」というほどでもないでしょう。
むしろ、今回の事故は、姉妹で登校中、妹の目の前で起きた事故であり、妹は「『姉を助けられなかった』と自責感情を強く抱き、(事故を突然思い出す)フラッシュバックや強い不安などの症状が現れた」とのことなので、慰謝料も認められやすい事案だったといえるでしょう。
この判決の意義は、むしろ、妹に対する慰謝料額が、両親に対する各200万円を上回る400万円の慰謝料を認めた点にあると言えるでしょう。
それにしても、運転者は、このうような交通事故の悲惨さに思いをいたしたうえで運転していただきたいと思います。
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判決に影響を及ぼすのか
2007年06月02日2007年5月21日に千葉地裁は、死刑判決を言い渡しました。振り込め詐欺グループの仲間割れからメンバー4人が監禁され、暴行を受けて死亡した事件で、共同被告人のうちの1人に対してです。これに対し、千葉地検は6月1日に控訴しました。事実誤認が理由だそうです。
刑事訴訟法382条は、「事実の誤認があってその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に表れている事実であって明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。」と規定します。
つまり、判決に影響を及ぼす事実誤認である必要があるのです。今回の事件では、被害者3人に対する殺人罪を主張した検察側に対し、判決では2人に対する殺人罪と1人に対する傷害致死罪と認定し、その意味では事実誤認との判断がされるのはわかります。
しかし、仮に検察側が主張するように、傷害致死罪が殺人罪に変更になったとすると、刑罰も重くなることはあっても軽くなることはないはずです。しかるに、今回は、死刑を求刑して死刑になったのですから、これ以上刑罰が重くなることはありません。判決に影響を及ぼす事実誤認であるとは思われません。
仮に、他の共同被告人に対する判決に影響を及ぼすという考えだとすると、本人の判決に影響しないような理由で控訴ができるのか、という疑問があります。
検察側がどのような考えなのか、見守りたいと思います。
大阪人はなぜ振り込め詐欺に引っかからないのか―カンニング竹山と考える
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救急車、迷ったときは、「#7119」
2007年06月01日東京消防庁は、「救急搬送トリアージ」という制度を始めました。これは、相談者が携帯電話や加入電話などから「#7119」とダイヤルすると、相談センターの医師や看護師らにつながり、医療機関の案内や、応急手当てのアドバイスなどが受けられるというもの。そして、緊急性が高いと判断されれば、119番を受けつける総合司令室に転送され、すぐに救急車が出動するという制度です。
突然の外傷による多量の出血や痙攣などでパニックに陥ったときに、救急車を呼んで良いものかどうか迷うもの。そんなときに、24時間医師や看護師らに直接電話がつながり、アドヴァイスを受けられるのは非常に心強いですし、不必要な救急車の出動を減らすことができると思います。
私は早速携帯電話に登録しました。
アメリカの弁護士は救急車を追いかける―アメリカの不思議なジョーシキ114
プロジェクトX 挑戦者たち 第5期 救命救急 ER誕生~日本初 衝撃の最前線~