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2008年交通事故死者数
2009年04月24日警察庁より、2008年中の交通事故死者数が発表されました。
2008年の交通事故死者数 5,155人(前年比-589人、-10.3%)
1日平均の交通事故死者数 14.08人(2007年中:15.74人)
1時間42分に1人の割合で交通事故で死者で出ている計算です。
8年連続で交通事故死者数が減っているとは言え、まだまだ多いですね。
突然の交通事故により尊い命を落とした方々のご冥福をお祈り申し上げます。
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福岡飲酒事故の控訴審逆転判決
2009年04月16日平成18年に、福岡市で起こった、飲酒運転で家族5人が乗る自動車に追突して海に転落させ、幼児3人を死亡させたとして、危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた事件の刑事控訴審判決が2009年5月15日、福岡高裁で開かれました。
1審で、検察側は危険運転致死傷罪の適用を主張し、懲役25年を求刑しましたが、福岡地裁は結審後、予備的訴因として業務上過失致死傷罪と道交法違反(酒気帯び運転)の罪を追加するよう検察側に命令し、危険運転致死傷罪の成立を否定して懲役7年6月の判決をしました。
ところが今回の控訴審判決では、1審判決を破棄し、危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役20年を判決を下しました。
賛否両論がありますが、今回のポイントは、法律解釈の問題ではなく、事実認定の問題です。
1審判決では、アルコールの影響で運転が困難とまでは言える状態でなく、事故の原因を「わき見運転」としました。
しかし、控訴審判決では、現場の道路状況などから見て、約11~12秒間のわき見運転はあり得ないとし、事故の原因は、アルコールの影響によって、前方注視を行う上で必要な視覚による探索能力が低下したためだ、と判断しました。
つまり、危険運転致死傷罪が成立するためには、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」になることが必要ですが、この状態とは、アルコールの影響により現実に道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態を言います。
そして、今回は運転操作という運動機能はあったが、運転の前提となる視覚機能が低下し、それがために前方注視が困難となって前の車の存在を認識できなかったのだ、と認定したものです。
このような事実認定は、おそらく判断する人によって異なってしまう可能性があるでしょう。
まもなく裁判員制度が始まりますが、事実認定に慣れていない一般の人が判断するときはなおさら難しい判断を迫られるものと思われます。
私としては、この判決を是認できるものと考えます。
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ひき逃げ(轢き逃げ)とは
2009年04月10日
ひき逃げ(轢き逃げ)について解説します。ひき逃げ(轢き逃げ)とは、一般的には、自動車による人身事故の場合に、加害者が、道路交通法に定められた義務である被害者の救護等をせず、現場から逃走することを言います。
道路交通法は、交通事故があったときの自動車の運転者や乗務員の義務として、次のような義務を課しています。この場合、加害者には限りません。
道路交通法第72条
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。つまり、
①ただちに車両等の運転を停止
②負傷者を救護
③道路における危険を防止
などの措置を講じる義務があります。さらに運転者は、警察に連絡し、報告をする義務があります。
この道路交通法第72条の義務に違反すると、次のような罰則があります。
道路交通法第117条1項
車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2項
前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。つまり、通常の義務違反の場合は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金だけれども、人身事故の運転者が義務違反をした場合には10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
ところが、ひき逃げ(轢き逃げ)の場合の罰則は、これだけにとどまりません。つまり、上記の罰則は、道路交通法の救護義務違反についての罰則のみです。
しかし、交通事故で人を死傷した場合は、通常「自動車運転過失致死傷罪」も成立します。これは、次のような条文です。
刑法第211条2項
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金の処する。つまり、自動車によるひき逃げ(轢き逃げ)の場合には、この自動車運転過失致死傷罪と道路交通法の救護義務違反の2つの罪が成立するのです。
この両者の関係はどうなるでしょうか。
この場合は、「併合罪」となります。併合罪になると、2つの罪のうち最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とします(刑法第47条)。
したがって、この場合、最も重い罪はひき逃げ(轢き逃げ)の10年懲役ですので、これにその2分の1(5年)を加えた懲役15年以下の懲役となります。
さらに、最近問題となっている飲酒ひき逃げ(轢き逃げ)の場合には、もっと重くなります。
先日説明しましたが、危険運転致死傷罪が加わると、最長30年以下の懲役になる可能性もあります。
さらに、民事損害賠償において、ひき逃げ(轢き逃げ)の場合には、慰謝料増額事由になることもあります。
自動車を運転する人は、このことをよく憶えておかなければなりません。
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迷惑電話は犯罪
2009年04月08日迷惑電話をかけすぎると犯罪になります。
今回は消防署に200回の迷惑電話をかけたということで、55歳の女性が偽計業務妨害罪で北海道警富良野署に2009年4月6日、逮捕されたそうです。
偽計業務妨害罪は、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています(刑法第232条)。
消防署は消防活動という業務を行っており、電話がかかってきた場合には、業務に関連する電話の可能性があり電話に出ざるをえないため、偽計により業務が妨害されていることになります。
業務とは、広く職業その他継続して従事する事務または事業を総称します(大判大正10年10月24日判決)。
したがって、普通の会社でも、病院でも、寺院でも、弁護士事務所でも適用されます。
頻繁に迷惑電話がかかってくるようなことがあれば、その日時をすべて記録するとともに会話があれば録音し、警察に届けるようにしましょう。
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また引きずりひき逃げ事故
2009年04月07日また交通事故での引きずりひき逃げ事故です。
2009年4月6日夜、東京都大田区北千束の路上で80歳の男性が車にはねられた上、約10メートル引きずられ、その結果、死亡するという事件が起きたそうです。
犯人は逃走中だそうです。
交通事故で人を死亡または傷害した場合は、自動車運転過失致死傷罪(刑法第211条2項)で、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
今回は、ひき逃げが加わりますので、救護義務違反(道路交通法第72条1項)により、10年以下の懲役または100万円以下の罰金も同時に成立します(道路交通法第117条2項)。
この自動車運転過失致死傷罪と救護義務違反は、併合罪という関係になり、刑罰が加算されます。
刑罰の加算のされ方は、もっとも重い罪の長期にその2分の1を加えたものとなります。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできません(刑法第47条)。
これを今回の事故にあてはまめると、次のようになります。
最も重い罪 10年以下の懲役(救護義務違反)
その2分の1を加える 10年+5年=15年それぞれの罪について定めた刑の長期の合計 7年+10年=17年>15年
したがって、今回は、懲役は15年以下ということになります。
今回は犯人が逃走してしまったので、わからないのですが、一般論では、仮に、ひき逃げ犯が飲酒泥酔状態で、正常な運転ができない状態で運転をしていた場合には、危険運転致死傷罪(刑法第208条の2)が成立し、20年以下の懲役です。救護義務違反との併合罪では30年以下の懲役となります。
法定刑で2倍の差が出てしまっています。
この点、飲酒運転での交通事故の場合に、「逃げ得」を助長しないか、心配なところです。
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鍛錬
2009年04月07日ゴールデンウイークも終わりました。
なんとなく宮本武蔵の言葉を思い出しました。
「千里の道もひと足宛(ずつ)はこぶなり。」
「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。」
今日から、またコツコツと、一生懸命仕事をしたいと思います。
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ゴールデン・ウィークも働く
2009年04月03日ゴールデン・ウィークも半分が終わり、後3日間となりました。
普段の事件処理での緊張した時間と異なり、ゆったりと時間が流れていきます。
と言っても、休んでいるわけではなく、原稿を書いたり、事件処理で必要となる法律の勉強をしたりしてそれなりに忙しく過ごしています。
時間はいくらあっても足りませんね。
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ビル名変更
2009年04月01日みらい総合法律事務所の入居するビルのビル名が変更になりました。
(変更前)
「アーバンBLD麹町」(変更後)
「麹町プレイス」住所は以下のとおりです。
〒102-0083 東京都千代田区麹町2丁目3番
麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所よろしくお願い申し上げます。
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SFCGが破産に移行
2009年03月01日2009年3月24日、民事再生手続中だったSFCG(旧商工ファンド)が、資金繰り対策の一環として進めていた債権売却で約700億円についての二重譲渡を原因として民事再生手続が廃止され、破産手続きに移行したとのことです。
保全管理人で破産管財人への就任予定は、倒産のエキスパートである弁護士の瀬戸英雄先生です。
民事再生法では、「決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき」(民事再生法191条1号)には、民事再生手続を廃止することになっています。
今回、債権の二重譲渡問題が明らかになったことから、決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないものと裁判所が判断したことになります。
今後は、破産管財人が実態を調査・解明した上で、整理し、事業を売却するなどして会社財産を現金化し、各債権者に配当の上、会社は消滅することになります。
民事再生手続は、比較的間口が緩やかになっており、申立自体は認めることが多いのですが、今回のように問題が発覚した場合には、破産手続に移行することもありますので、注意が必要です。
実態の解明を見守りたいと思います。