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  • 分掌変更退職給与と税賠リスク

    2021年02月26日

    税理士向け記事です。

    今回は、税賠リスクが高い分掌変更による役員退職金の否認問題を取り扱います。

    分掌変更退職給与が否認された場合における課税は、ご存じのとおり、「トリプルパンチ課税」と呼ばれるものです。

    【法人税】

    定期同額給与以外の給与になり、全額損金不算入

    【所得税】

    退職したことにならないので、給与所得課税

    【源泉所得税】

    給与所得になるので、徴収漏れ

    というものです。

    そして、退職給与としての税務処理は、税理士が判断するわけですから、その認定に善管注意義務違反があれば、税理士に対する損害賠償に発展する可能性がある、ということです。

    では、分掌変更の退職給与の判断では、どのような点に注意すれば良いでしょうか。

    一応通達を掲げておきます。

    暗記している方は、飛ばしてください。

    ===================

    法人税基本通達

    9-2-32 法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。(昭54年直法2-31「四」、平19年課法2-3「二十二」、平23年課法2-17「十八」により改正)

    (1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。

    (2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除く。)になったこと。

    (3) 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。

    (注) 本文の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。
    ===================

    上記(1)~(3)は、「例示」ですので、認定にあたっては、あくまでも「実質的に退職したと同様の事情にあると認められる」かどうかを認定しなければならない、ということになります。

    裁判所も、「本件通達は、・・・役員の分掌変更又は改選による再任等に際して、法人の役員が実質的に退職したと同様の事情にあるものと認められ、その分掌変更等の時に退職給与として支給される金員を損金の額に算入することができる場合についてその例示等を定めたものであると解される。」としています(東京地裁平成29年1月12日判決)。

    ここでは、過去の裁判例や裁決例から、「実質的に退職したと同様の事情にあると認められる」かどうかの考慮要素となったポイントを抽出してみます。

    ・事業運営上の重要な意思決定に関与したか

    ・営業面で重要な役割を果たしたか

    ・金融機関との交渉に重要な役割を果たしたか

    ・資金調達に重要な役割を果たしたか

    ・経営会議に参加して意見を表明したか

    ・支出や経費、財務に関し、意見を表明する等重要な役割を果たしたか

    ・稟議書等を決裁しているか

    ・人事に関与しているか

    ・役員報酬や従業員給与等の決定に関与しているか

    ・予算決算に関与しているか

    このような点について、社内の書類を検討し、また、インタビューをして事実認定をすることになります。

    そして、その結果については証拠化して、将来の税務調査によって否認されうること、その際はトリプルパンチ課税があることを説明し、その説明したことも証拠化することになります。

    税理士が退職給与認定は難しそうだと思ったら、その旨説明し、それでも関与先の責任において行う、ということであれば、損害賠償の免責の証書をいただく方が良いでしょう。

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  • 税理士に対する「調査」(懲戒調査含む)

    2021年01月29日

    今回は、税理士に対する「調査」について、簡単に説明します。

    税理士に対する調査には、主に

    ・所轄税務署による国税通則法に基づく税務調査(質問検査)

    ・財務省設置法19条に基づく「実態調査」

    ・懲戒処分を前提とする「調査」

    の3つがあります。

    税務調査については、一定割合の税理士に対して行われるもので、比較的簡略に行われることが多いようです。

    しかし、事前に非違行為が疑われる情報がある場合は、簡略調査の途中、非違行為が疑われる情報を見つけた場合には、本格的に行われる場合もあります。

    次に、財務省設置法19条に基づく「実態調査」は、特に非違行為の情報がない状態で行われる簡易的な調査です。

    雑談などをしながら簡単に調べて終了となります。

    懲戒処分を前提とする「調査」については、

    ・国税局の「税理士専門官」が主体となって行う調査

    ・所轄税務署の税理士事務担当者が主体となって行う調査

    調査の結果、税理士法違反が発見された場合、その違反が軽微な場合もあるので、必ず懲戒処分がされるわけではありません。

    税理士法違反が軽微で、注意指導により改善が見込まれる場合は、

    ・口頭又は文書による指導

    ・業務改善書の提出

    などで終了することもあります。

    しかし、看過できない税理士法違反があった場合には、懲戒処分がされることになります。

    上記のことを頭に入れておき、むやみに不安になったり、心配したり、しないようにしましょう。

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  • 税理士はどの程度説明すべきか

    2021年01月15日

    税理士向けの記事です。

    税理士の損害賠償では、「説明助言義務」が争われることが多いです。

    争われ方は、3つ。

    (1)説明が間違っていた

    (2)その点を説明する義務があるかどうか

    (3)説明すべきなのに、しなかった

    この(3)の中には、「説明はしたが、不十分だった」というものも含まれます。

    例を挙げます。

    相続税業務を受託して、相続税申告をしたと事例で検討します。

    後日の税務調査で、名義預金を指摘され、修正申告をし、過少申告加算税、延滞税、重加算税を課せられたとします。

    相続人は、「税理士から説明がなかった。説明があれば出していた。説明義務違反だ」と損害賠償を請求してきました。

    税理士は、「メールで『名義預金も出してください』と説明しました」と抗弁しました。

    この抗弁は認められるでしょうか。

    おそらく裁判所からは「説明が不十分だった」と認定されるでしょう。

    なぜか、というと、税務の素人は、「名義預金」と言われても、その意味内容、要件を理解できないためです。

    それでは説明したことにはならない、ということになります。

    説明助言義務は、一般人がその意味内容を理解できる程度に説明助言をする必要がある、という点に注意していだきたいと思います。

    では、どの程度に説明すれば、一般人が理解する程度の説明と言えるのか。

    「税理士を守る会」の会員の先生は、書式集の中の「相続税申告業務受任にあたっての説明・同意書」の説明の程度を参考にしていただければと思います。

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  • 2020年12月19日

    「税理士を守る会」で、過去にあった質問です。

    「新規顧問契約を締結する法人があります。

    契約書は締結したいと思いますが、現時点では、作業量が判然としないので、料金を決められません。

    そこで、当面契約書を締結せずに業務を開始したいと思います。

    その間に税賠が心配なのですが、防止法はありませんか?」

    他の先生方も同じような事情があるかもしれませんので、この点について解説します。

    契約書は税理士を税賠請求から守るものでもあるので、ぜひ締結していただきたい、と常々申し上げております。

    しかし、中には、作業量がまだわからないので、実際に始めてみないと、顧問料その他の料金を決められない、という場合もあると思います。

    私は、その場合でも、当初より契約書を締結することを推奨しているものです。

    では、金額不明の場合に、どのように契約書を締結するか、についてですが、次のように行います。

    ・契約書の金額欄の箇所は、「甲乙間で別途合意する金額とする」と記載し、金額以外の部分を確定させて契約書を締結する。

    ・後日、金額が決まった時点で、合意書を締結し、「●年●月●日付『●●契約書』の委任業務欄記載の税理士報酬について、以下のとおり合意する」として、契約書と関連づける。

    ・契約書の中に理由不問の中途解約条項を記載する(報酬の折り合いがつかない際に、すぐに解約できるようにしておく)。

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  • 自己脱税で税理士懲戒処分

    2020年12月12日

    今回は、自己脱税をしたことを理由として懲戒処分を受けた税理士が、処分取消訴訟を提起した事案をご紹介します。

    大阪地裁平成30年8月2日判決(Z999-2170)

    (事案)

    税理士業を営んでいた原告が、自己の所有する神戸市所在のマンションの一室及びその敷地利用権(所有権)の売却をしました。

    原告は、これについて、租税特別措置法に基づく居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用があることを前提に、課税長期譲渡所得金額を0円として平成23年分の所得税の確定申告をしました。

    本件申告について、財務大臣から、原告は本件マンションを主としてその居住の用に供していないにもかかわらず上記所得金額を不正に1511万0114円圧縮したなどとして、平成27年6月9日付けで業務停止3月の懲戒処分を受けたため、被告を相手に、本件処分の取消しを求めて主訴しました。

    (税理士法の規定)

    税理士法37条

    税理士は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。

    (裁判所の判断)

    原告自身は仕事からの帰りが遅くなったときなどに、定期的に、本件マンションを利用して日常生活を送っていたということができ、一定の居住実態があったものと認められる。
    妻は本件戸建を主たる生活の拠点とし、妻が本件マンションで寝起きすることは少なく、洗濯は本件戸建に洗濯物を持ち帰ってしていた。

    電気・ガス・水道の使用量からも、マンションの利用は一定範囲に限定されていた。

    原告は、税理士及び公認会計士の登録上の住所を本件戸建の所在地とし、年賀状の差出人の住所も運転免許証の住所も、本件戸建の住所としていた。

    戸建て住宅とマンションとの間で住民票の移動を繰り返していたが、マンションに住民票を置いていた時期は、短期間である。

    そうすると、原告は、神戸市の戸建住宅(本件戸建)を自らの主たる住居と認識し、本件戸建を日常的に利用して日常生活を送っていたものと認められる。

    原告は、本件譲渡につき居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けるためには、本件マンションが主たる住居に該当しなければならないことを知りながら、本件マンションの所在地を住所とする住民票の写しを添付して神戸税務署長に提出し、本件確定申告を行った原告の行為は、信用失墜行為の一類型としての仮装行為による自己脱税と評価すべきである。

    その結果、裁判所は、請求を棄却しました。
    =================

    隠ぺい又は仮装行為により、過少申告等をした場合には、重加算税が課せられます。

    税理士であれば、当然にそのことは念頭に置いていると思います。

    しかし、自己の税務申告にあたり、隠ぺい又は仮装行為を行い、過少申告等を行った場合には、税理士法37条の信用失墜行為に該当し、懲戒処分の対象となります。

    また、業務において、故意又は過失により脱税相談等を行った場合は、税理士法45条で懲戒処分の対象となります。

    十分注意したいところですね。

  • 税理士が外部委託する時の法的注意

    2020年11月17日

    税理士が受託した業務の外部への再委託の守秘義務についてです。

    税理士業務のうち、記帳代行部分を外部の記帳代行会社に再委託している先生も多いかと思います。

    その際、法的に注意すべき点があります。

    ・再委託の許可

    ・守秘義務

    という点です。

    税理士の顧問契約は、多くの場合には、【委任契約】と解釈されることになります。

    委任契約となると、改正民法で、

    ====================
    民法第644条の2の1項

    「受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。」

    ====================

    という規定があるので、そもそも【依頼者の許諾がないと、法律上、再委託できない】、ということになります。

    そして、記帳代行会社は、顧問先から見たら第三者ですので、税理士法に基づく税理士の守秘義務により、正当な理由がなければ秘密を漏らしてはいけません。

    税理士の【業務上の都合】は、正当な理由になりません。

    民法上も、税理士法上も、顧問先に無断で再委託することはできない、ということになります。

    したがって、再委託自体について、顧問先の許諾を得る必要がある、ということになります。

    「税理士を守る会」の会員の先生は、会でご提供している契約書をご利用いただければ、上記の点はクリアできます。

    そうでない先生で、記帳代行会社に再委託する際は、顧問先から許諾を得ることを忘れないようご注意いただきたいと思います。

    その他の問題点としては、記帳代行業者がミスをしたことにより、税務申告に過誤が生じた場合、顧問先と記帳代行業務について契約をしている当事者は税理士となりますので、税理士が損害賠償請求を受ける、という点にも注意が必要です。

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  • 債務未確定を損金計上で税理士懲戒処分

    2020年09月17日

    今回は、税理士懲戒処分の事例のご紹介です。

    国税庁が発表した事例としては、以下のとおりです。

    ====================
    被処分者は、関与先であるA社及びB社の法人税の確定申告に当たり、決算期末に債務が確定していない費用を損金に算入することによって、所得金額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。また、これに伴い、両社の消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。

    ====================
    処分としては、「税理士業務の禁止」です。

    税理士業務の禁止は、税理士登録抹消処分され、処分日から3年を経過する日まで税理士資格なし、ということで、かなり厳しい処分です。

    関与先の社長から、

    「今期は利益が出すぎたので、税金を少しでも安くしたい。来月確定する支払を前倒しして今期に計上できないか」

    と依頼されて応じてしまうと、上記のような懲戒処分に該当する可能性がある、ということです。

    以下は、関連条文です。

    まず税理士法。

    ===================

    税理士法第45条1項

    財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき、又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは、二年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。

    ===================

    そして、費用の年度帰属は、法人税法です。

    ===================

    法人税法第22条3項

    3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
    一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
    二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
    三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

    ※上記の2号括弧内です。

    ===================

    以前にメルマガでご紹介した、以下のような懲戒処分もありますので、注意したいところです。

    ===================

    被処分者は、関与先であるA社及びB社の消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、従業員に対する給与について、その一部を外注費に計上することによって、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。

    ===================

  • 税理士が記帳代行会社(会計法人)を設立する場合の注意点

    2020年06月30日

    記帳代行業務は、税理士独占ではないので(税理士法2条2項)、非税理士である会計法人が行うことも法律上許容されます。

    税理士が記帳代行業務を行う会計法人を設立する場合、契約形態としては、次の2種類が考えられます。

    (1)税務業務と記帳代行業務を一括して税理士事務所で受託し、会計法人に外注に出す契約

    (2)税務業務は税理士事務所で受託、記帳代行業務は会計法人で受託する、というように契約を別にする場合

    (1)の一括受託の場合

    この場合、顧客との契約主体は税理士のみとなります。

    会計法人に外注に出す場合には、次の点が問題となります。

    ・守秘義務

    ・複数事務所(会計法人が別の場所にある場合)

    ・従業員の管理監督

    ・会計法人(非税理士)による税務業務

    そこで、日本税理士連合会業務対策部から、「税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針」が出されています。

    ===================

    【参考】税理士が主宰する会計法人に対する外部委託において留意すべき事項

    委託主である税理士が主宰する会計法人に対し、外部委託を行う場合は以下の点に留意すべきである。

    ・ 会計法人の業務及び従業員等の監督の観点から、主宰会計法人の代表者には主宰税理士自身が過半数を超える出資の割合をもって就任し、責任を負うべきである。

    ・ 効果的な監督の観点から、主宰会計法人の所在地は、税理士事務所等と同一場所とすべきである。同様の趣旨から、その法人の支店及び営業所は設置すべきではない。

    ・ 会計業務は主宰税理士が税理士業務とともに一括して契約したうえで、これを主宰会計法人へ委託する方式の採用を徹底すべきである。

    ・ 主宰税理士と主宰会計法人との委託契約上において、会計法人は税務一般の業務を絶対にしてはならないことを明らかにしたうえで、会計法人の業務は会計業務に限ることとし、税理士業務については、主宰税理士と顧問先との契約を明確にする。

    ====================
    このほかに、顧客から、再委託の承諾をもらい、守秘義務を解除していただく必要もあります。

    上記指針は、「本指針は、社会公共性の高い税理士業務の性格に鑑み、税理士の使命を全うするために必要な事項として、税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制を適切に整備するための参考になることを目的に策定したものである。」とされ、あくまでも参考にとどまるものです。

    上記指針に違反することが直ちに懲戒事由になるとは考えておりませんが、その結果として、

    ・守秘義務

    ・複数事務所

    ・従業員の管理監督

    ・会計法人(非税理士)による税務業務

    に違反すると評価された場合には、懲戒事由に該当すると考えます。

    しかし、私は上記指針と異なり、会計法人と顧客との別途契約方式も有効との考え方を採用しています。

    税理士以外の者を代表者にすることも許されると考えます。

    この点は、当該税理士が関与しない全くの第三者である記帳代行会社が記帳代行を受託している場合を考えていただければよろしいかと思います。

    この契約形態の場合には、一括受託とは反対に、如何に税理士事務所と会計法人を区別するか、という点が重要になってくると思います。

    気をつけるべき点が全く異なる、ということです。

    次の点に注意する必要があります。

    ・同一事務所内に会計法人を設置する場合は、守秘義務の観点から物理的区分性が必要になってくる

    ・守秘義務、非税理士による税務業務の禁止、従業員の監督の観点から、税理士事務所従業員が会計法人の従業員を兼務しない

    ・税務業務と会計業務を明確に区別する

    ・税理士事務所と会計法人で直接情報のやりとりをするには、顧客から守秘義務を解除していただく必要がある

    ===================

    このように、契約形態により、注意すべき点が全く異なってきますので、一度整理しておくことをおすすめしたいと思います。

  • 決算期変更で税理士懲戒処分

    2020年03月27日

    気になる税理士の懲戒処分がありました。

    法人の顧問先が利益がたくさん出てしまった際に、

    「うち5月決算なんだけど、3月と4月で利益ですぎちゃったんですけど、利益を減らせませんか?」

    などと相談されることがあると思います。

    この時、安易に、

    「じゃあ、決算期を変更しましょう。一応臨時株主総会議事録を作成しておいた方がいいので、私の方で作成しておきますよ」

    などと回答し、そのまま処理すると、懲戒処分を受けることがあります。

    以下の懲戒処分事例が国税庁により、公表されています。

    ====================
    (1)被処分者は、関与先であるA社の法人税の確定申告にあたり、開催されていない臨時株主総会において、決算期が5月から3月に変更されたと偽装することによって、4月および5月に生じた収益を除外し、所得金額を圧縮した事実に反する申告書を作成した。

    (2)被処分者は、A社の消費税および地方消費税の確定申告にあたり、開催されていない臨時株主総会において、決算期が5月から3月に変更されたと偽装することによって、4月および5月に生じた課税売上高を除外し、消費税および地方消費税額を圧縮した事実に反する申告書を作成した。

    ====================
    つまり、株主総会を開催していないにもかかわらず、開催したかのように偽装して、決算期を変更した、ということです。

    条文としては、税理士法36条と45条1項が関連します。

    ===================

    税理士法45条1項

    財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき、又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは、二年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。

    ===================

    税理士法36条

    税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。

    ===================

    決算期を変更する助言をすることはあると思いますが、その際には、臨時株主総会を省略せず、実際に開催しないと、否認され、重加算税の対象になる可能性があるとともに、懲戒処分、税理士損害賠償に発展する可能性すらある、ということになります。

    税理士の先生方は、ご注意いただければと思います。

  • 給与を外注費処理で税理士懲戒処分

    2020年01月21日

    今回は、税理士向けの記事です。

    国税庁のホームページにおける税理士の懲戒処分の事例が更新されました。

    その中に、気になる事例がありました。

    被処分者は、関与先であるA社及びB社の消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、従業員に対する給与について、その一部を外注費に計上することによって、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。

    処分としては、「税理士業務の禁止」です。

    税理士業務の禁止は、税理士登録抹消処分され、処分日から3年を経過する日まで税理士資格なし、ということで、かなり厳しい処分です。

    法令違反の根拠としては、税理士法45条1項です。

    財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき、又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは、二年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。

    「故意」の不真正税務書類の作成を認定した、ということです。

    従業員に対する給与を外注費にしたがる経営者がいますが、多くの場合には税理士の指導により実態が業務委託になるよう整えてくれると思います。

    しかし、中には形式だけ整えて税理士の指導に従わない経営者もいると思います。

    その場合、税理士としては、外注として処理できない旨経営者に助言指導することになりますが、経営者が従わない場合に、将来の否認の可能性を指摘した上でやむなく外注費として処理する先生もいらっしゃるかと思います。

    ところがこの場合には、

    「税理士が、従業員に対する給与について、その一部を外注費に計上することによって、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。」

    ということになってしまい、先ほどの懲戒処分の事例と同じ行為になってしまいます。

    経営者に助言指導したとしても、税理士が知っている以上、「故意」が認定される、ということです。

    この点、十分注意したいところです。

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