ライブドア弁護士辞任に関して(弁護士の立場から)
2005年02月05日
本業が忙しく、全然ブログが更新できませんでした。この間に、ライブドアの主任の弁護士が「個人的理由」により辞任してしまいました。
様々な疑問が飛び交っているようですので、疑問に対して意見を述べてみたいと思います。
Q「事件の途中で弁護士が降りることはよくあること?」
A「一般的には、よほどの理由がない限り、辞任することはありません。特に本件のように、緊急的な仮処分事件の最中に辞任することは、滅多にあることではありません。」
Q「過剰取材が原因?」
A「過剰取材が原因で辞任することはまず考えられません。電話での取材申し込み、待ち伏せによる取材等に対しては、裁判中を理由にすべてノーコメントを貫くことが可能です。他の原因があるはずです。」
Q「報酬のトラブル?」
A「弁護士報酬は着手金と報酬金にわかれます。今回の場合、着手金を払ってもらっていなければ辞任するのは当然ですが、それは考えにくいのではないでしょうか。報酬の決定方法についても、今回は、和解ではなく、仮処分決定ないし却下までいくでしょうから、事前の取り決めがあるはずです。したがって、報酬のトラブルは考えにくいと思います。」
Q「状況が不利になり、負けるのが嫌になったから辞任したのではないか?」
A「あり得ません。如何に依頼者の状況が不利であろうとも、その状況の中で依頼者のために全力を尽くすのが弁護士です。しかし、依頼者が決定的な嘘をついており、それが原因で依頼者と衝突して相互の信頼関係が失われた場合には、辞任することがあります。しかし、それは、信頼関係の問題であり、事件の勝ち負けとは関係有りません。」
Q「ライブドアからクビになったのでは?」
A「これは可能性があります。依頼者から解任されれば弁護士は事件を継続できません。依頼者が弁護士を解任したことがわかると、裁判所は、ライブドアがかなり内部的にも問題を抱えていると推測し、裁判に悪影響を及ぼします。そこで、悪影響を回避するため、個人的理由により辞任した形を取った可能性は否定できません。」
Q「フジテレビから買収されたのでは?」
A「あり得ないでしょう。そんなことをしたら、懲戒になります。いくらもらっても買収されることはないでしょう。」
Q「主任弁護士辞任によりライブドアは不利になるか。」
A「これは否定できません。まず裁判所や世論に与える印象がよくありません。もちろん、裁判所は印象で判断するわけではありませんが、判断するに際し、内部のトラブルを推測させ、微妙な影響を与えることはあります。次に、裁判というのは、まず戦略を立て、その戦略に則って主張立証を行うものです。途中で弁護士が変わることは、手術中に医者が変わることと似ています。望ましいことではありません。」
Q「辞任により、仮処分の結論が延びる可能性は?」
A「あります。今回は、第1回審尋が3月1日、第2回が3月4日とかなりの短期間で決着を着けようとしていました。ペース的には、来週中に裁判所が結論を出すこともあり得ると予測していました。主任弁護士が交替になることで、ペースに狂いが生ずることは考えられます。」