任意売却における買主側注意(詐害行為) | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
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任意売却における買主側注意(詐害行為)

2005年04月05日

不動産の任意売却において、買主側が注意すべきものについて、詐害行為取消権という問題があります。これは、不動産の所有者兼債務者が、一般債権者に支払ができなくなることを知りながら、一般債権者が換価支払を受けられるべき財産を不当に減少させた場合に、それを取り消すことができるという制度です。
 
たとえば、無担保不動産を所有している人が、その不動産を誰かに贈与してしまい、財産がなくなった結果、その人の債権者が債権を回収できなくなるような場合に、債権者は、その贈与を取り消すことができます。
 
これが、任意売却の場面で、どのように作用するか。取り消されるということは、買主からすれば、代金を払ったにもかかわらず、不動産を取り戻され、または認定された価額を更に支払わなければならなくなるということです。
 
まず、判例では、不動産を売却して金銭にかえることは、消費または隠匿しやすい財産にかえることであり、詐害行為にあたると言います。
 
ただし、ご安心ください。担保物件を相当な価額で売却し、その売却代金を抵当権者等の優先債権に弁済した場合には詐害行為にあたらないと言います。したがって、相当な価額でなければ、詐害行為として取り消される場合があります。
 
オーバーローンでなく、剰余価値がある場合もご注意ください。剰余部分については、不動産を金銭にかえたことになり、詐害行為になる可能性があります。
 
また、担保不動産と同時に無担保不動産を売却した場合、建物内の機械造作等の売買も行った場合は、抵当権の及ばない範囲では、動産を金銭にかえたことになり、詐害行為になるかどうか判断しなければなりません。
 
一般の任意売却の場合には、大丈夫な場合が多いように思われますが、上記のようなこともあり、任意売却の買主も、念のため弁護士に相談するのがよいでしょう。