取引経過開示拒否は違法
2005年06月19日
消費者金融「キャスコ」に対し、債務者が過去の取引履歴を開示するよう請求したところ、キャスコがこれを拒否した件につき、取引経過開示拒否は違法だとして債務者が損害賠償請求をしました。
この事件について、最高裁第三小法廷は19日、「貸金業者には開示義務があり、拒めば不法行為として賠償責任を負う」との初判断を示しました。
裁判実務では、お金を貸し付けたことについては消費者金融側が立証責任を負担し、お金を返したことについては債務者側が立証しなければならないのが原則です。
簡単に言うと、今回の最高裁判決では、この原則を覆し、貸金業者は、債務者から請求があった場合には、過去にお金を貸しつけた分だけでなくて返済された分の記録まで開示しなければならなくなります。
これは極めて重要な意味を持ちます。なぜなら、債務者側は、貸金業者に支払った振込票等を保存せずに捨ててしまっているのが通常であり、債務者側が支払について立証することは極めて困難であるからです。
通常消費者金融は、利息制限法を超える金利を取っていますので、長期間の取引をしていると、債務者側が逆に消費者金融業者からお金の返還を受けられる場合があります。
今回の判例は、その過払金返還手続にとって非常に大きな意義を有すると言えます。