職務質問 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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職務質問

2006年09月03日

2006年9月3日午前3時ころ、食料品店から、レジから1万円ほどなくなっているとの110番通報を受け、同日午前3時35分ころ、大分県の市道で、警察官が、自転車に乗った男に職務質問をしたところ、自転車男にカッターナイフで左肩を切りつけられたそうです。

ニュース

警察官の仕事は危険がいっぱいですね。ストレスもたまるでしょう。

ところで、警察官の行う「職務質問」とは何でしょうか。

警察官の行為規範として「警察官職務執行法」(警職法)という法律があります。その2条で、職務質問について規定されています。

警職法第2条(1項~3項)

1 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に付近の警察署、派出所若しくは駐在所に同行することを求めることがきる。
 
 前2項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所もしくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
 
任意の職務質問であり、強制力はありません。質問を受けても黙秘してかまいません。もちろん、カッターナイフで斬りつけてはいけません。
 
こんな判例があります。
 
警察官が、覚醒剤の使用ないし所持の容疑が濃厚な者に対して職務質問中、その者の承諾がないのに、その上衣左側内ポケットに手を差し入れて所持品を取り出した上検査した行為は、職務質問に付随する所持品検査において許容される限度を超えた行為である(最高裁昭和53年9月7日判決)。
 
職務質問には、このように、強制力がありませんので、警察官としては、任意に所持品を検査させるよう持ち込む交渉力が要求されるということです。