また引きずりひき逃げ事故
また交通事故での引きずりひき逃げ事故です。
2009年4月6日夜、東京都大田区北千束の路上で80歳の男性が車にはねられた上、約10メートル引きずられ、その結果、死亡するという事件が起きたそうです。
犯人は逃走中だそうです。
交通事故で人を死亡または傷害した場合は、自動車運転過失致死傷罪(刑法第211条2項)で、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
今回は、ひき逃げが加わりますので、救護義務違反(道路交通法第72条1項)により、10年以下の懲役または100万円以下の罰金も同時に成立します(道路交通法第117条2項)。
この自動車運転過失致死傷罪と救護義務違反は、併合罪という関係になり、刑罰が加算されます。
刑罰の加算のされ方は、もっとも重い罪の長期にその2分の1を加えたものとなります。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできません(刑法第47条)。
これを今回の事故にあてはまめると、次のようになります。
最も重い罪 10年以下の懲役(救護義務違反)
その2分の1を加える 10年+5年=15年
それぞれの罪について定めた刑の長期の合計 7年+10年=17年>15年
したがって、今回は、懲役は15年以下ということになります。
今回は犯人が逃走してしまったので、わからないのですが、一般論では、仮に、ひき逃げ犯が飲酒泥酔状態で、正常な運転ができない状態で運転をしていた場合には、危険運転致死傷罪(刑法第208条の2)が成立し、20年以下の懲役です。救護義務違反との併合罪では30年以下の懲役となります。
法定刑で2倍の差が出てしまっています。
この点、飲酒運転での交通事故の場合に、「逃げ得」を助長しないか、心配なところです。
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