議論に勝って自尊心を満足させることは得か? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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議論に勝って自尊心を満足させることは得か?

2013年06月14日


議論は、何のために行うものでしょうか?

自分一人でベストの結論に到達できれば、他人に相談する必要もないし、会議も不要、議論も必要ありませんね。

しかし、自分一人では多角的に物事を見ることができず、どうしても一面的に物事を見てしまいます。

そこで、議論が必要になるわけですね。

つまり、議論は、1人で考えるのに比べ、「よりよい結論」に到達するために行うものです。

しかし、人は、議論をしていると、自尊心を守ろうとするがゆえに、議論に勝つこと、議論に負けないこと、自体を目的にしてしまうことがあります。

議論好きな人は、議論によって「よりよい結論」に到達することが心地よいから議論をするのではなく、「議論に勝って、自尊心を満足させるため」に議論をする、という人も多いように感じます。

それでは議論本来の目的からそれてしまっていますね。

そして、議論で相手を言い負かしてしまったりすると、相手の自尊心は低下し、こちらに対して不愉快な気持ちになり、場合によっては喧嘩になってしまったり、敵意を抱かせてしまうことにもなります。

したがって、議論をするときは、相手の考え方、意見を尊重しつつ、議論の目的である「よりよい結論に到達すること」を常に考えておかなければなりません。

自分の自尊心を満足満足させることは大切ですが、議論以外のところで満足させるように注意しなければ、人間関係を損なってしまう可能性があります。

私は法律で論理的思考を磨いて、議論が強くなりました。

そして、議論で相手に勝つことに快感を覚えました。

そして、弁護士になってから議論で相手に勝つこと自体が仕事で勝つことだ、と思って積極的に議論をしていました。

しかし、あえて議論に持ち込んだばかりに紛争がこじれたり、うまく解決できなかったり、という経験をしました。

そして、それは間違いだった、と今は思っています。

気をつけたいものです。

「議論好きの性格は、会話の楽しみをそこなったり、ぶちこわしたりするだけでなく、友情がめばえたかもしれないのせっかくの機会にも、不愉快な気持ちや、場合によっては敵意すらを相手にいだかせることになる」(ベンジャミン・フランクリン)