寝屋川事件とテレビゲーム | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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寝屋川事件とテレビゲーム

2005年02月16日

大阪府寝屋川市立中央小学校で教職員3人が殺傷された事件で、少年は、小学校のころからテレビゲームに熱中していたといいます。
 
以前よりゲームについて考えていたことがあります。
 
テレビゲームと犯罪は相関関係があるか、というと、2つの点で関係があると考えています。
 
1つは、「エルム街の悪夢」症状と呼んでいるのですが、現実とバーチャルの区別を明確につけることができなくなり、現実世界においてテレビゲーム的感覚の行動をとってしまう症状です。テレビゲームに熱中するときは、何時間でもそのテレビゲームの世界に入り込んで主人公として行動します。映画、テレビドラマも同様ですが、その入り込む時間数と主体性には、格段の違いがあります。そして、映画ですら、映画を見終わって映画館から出てくると主人公になったような気になって肩で風切って歩くくらいになってしまいます。(私もそうです。)
 
その症状が重度に進行したとき、現実の世界でテレビゲームが始まります。今回の事件の事情を知らないので、今回の事件がそうだとは言いませんが、一つの見方として、少年は、自分の人生を台無しにした教師への復讐に立ち上がる主人公としてゲームを開始した、という見方をすることもできます。その場合、少年は、事件時及び事件後しばらくは自分が悪いことをした感覚は全くないということが推測されます。
 
もう1つは、「リセット症候群」と呼んでいるものです。これは、他人が自分の思うとおりにならず、イライラがつのって突然、いきなり犯行に及ぶ場合です。テレビゲームが自分の思い通りにいかないときに、リセットボタンを押してまたゲームをやり直すことができるところからきています。
 
人生は、自分の思い通りにいきません。そして、リセットボタンを押して始めからやり直すこともできません。なんとかそれを受け入れて乗り越えていかなければなりません。しかし、ゲームでは、自分の思い通りにいかないときに、リセットボタンを押すことにより、容易にやり直すことができます。このリセットは、とても強い誘惑であり、失敗を受け入れ、乗り越える能力を蝕みます。このリセット感覚が常態になると、現実世界でも、思い通りにいかないときに、「リセットしたい。」という誘惑に強くかられます。そして、失敗や苦境を受け入れ、乗り越える能力が低下しているので、自分ではどうしようもできなくなり、現実世界でリセットボタンを押してしまう、つまり犯行に及ぶのです。
 
したがって、このパターンでは、そんなことをするはずがない、と思われる人が、突然に犯行に及ぶ傾向がある、と考えられます。