業務上過失致死傷罪の法定刑引き上げ気運
2006年12月31日付け日経新聞からです。
「危険運転致死傷罪」(死亡時懲役二十年以下、負傷時十五年以下)が適用できない交通事故について、法務省は刑法に新たな規定を設ける方針を固めた。「業務上過失致死傷罪」(懲役五年以下または罰金五十万円以下)を適用していた脇見運転、速度超過などドライバーに重い過失がある人身事故を対象とし、罰則も引き上げる。二月に法政審議会に諮問し、二〇〇七年通常国会への刑法改正案の提出を目指す。
こういうことです。
自動車を運転して事故を起こした場合には、通常、「業務上過失致死傷罪」(懲役五年以下または罰金五十万円以下)が適用されます。
しかし、このうち、①アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を運転して事故を起こした場合、②進行を制御することが困難な高速度で運転して事故を起こした場合、③進行を制御する技能を有しないで(例:無免許)運転して事故を起こした場合、などには、「危険運転致死傷罪」(死亡時懲役二十年以下、負傷時十五年以下)が成立します。
この2つの罪の法定刑の最高刑は、5年と15年と大きな開きがあります。しかし、危険運転致死傷罪は、危険な運転や危険運転と同視できるような重い過失がある場合の全てを射程範囲においていません。
そこで、それらの場合にも、刑の不均衡を生じないよう、業務上過失致死傷罪のうち、自動車事故による人身事故の場合に限り、法定刑を引き上げようとするものです。
現在弁護を担当している、2006年9月の川口園児4人死亡事故について、遺族達が事件に対する危険運転致死傷罪の適用や、業務上過失致死傷罪の法定刑の引き上げの署名を行っております。
すでに合計で6万名の署名が集まっております。
今週末も、JR浦和駅前などで署名活動を行っております。ご賛同いただける方は、ご協力をお願い致します。<(_ _)>