必要な時間は膨張する。
・ある仕事が完了したのは、締切日の朝だった。
・レポートを完成したのは、締切の前日だった。
・夏休みの宿題が終わったのは、夏休みの最終日だった。
このような経験は、あなたにもあるでしょう。
中には、締切日を過ぎてしまう人もいるでしょう。
「パーキンソンの法則」というものがあります。
これは、「仕事は、与えられた時間を全て満たすまで膨張していく」というものです。
締切を設定した途端、その仕事は、その締切までの間、膨張し続けるので、締切が3日後であれば、それまで、7日後であれば、それまでずっと膨張し続けていく、という考え方です。
「エメットの法則」は、これを言い換えたものと言えます。
これは、「ある作業を終えるために必要な時間とエネルギーは、締切直前まで膨張する」というものです。
仕事量にフォーカスするか、仕事に費やす時間などにフォーカスするかの違いですね。
パーキンソンの法則もエメットの法則も、時間の経過にしたがって、仕事量や費やす時間に対する自分の感覚が変化する、という考え方です。
しかし、そうではなく、作業を始める前に、私たちは、すでに錯覚に陥っているのだ、と考えたのが、ダニエル・カーネマンらです。
人間には、あるプロジェクトにおいて、それにかかる時間やコストを過小評価し、楽観的に見積もってしまう傾向があり、これを「計画錯誤」と呼びました。
計画錯誤の原因としては、いくつか考えられており、例えば、計画段階では、プロジェクトの詳細を完全には理解していないため、やらなければならない作業の見落としがあります(だから、パーキンソンの法則のように、作業量が膨張するように感じる。)。
また、私たちの生活では、急な仕事や雑用など日常的にイレギュラーなことが起こりますが、これは計画の中には含まれません(だから、エメットの法則のように、作業を終了するまで時間やエネルギーが膨張するように感じる。)。
このような考え方から、
「では、全てを想定して綿密に計画して、確実に実行しよう」
と考える人は、自分の能力を過大評価していると言わざるを得ません。
計画錯誤を回避することは不可能と考え、
・本当の期限より前に「自分の期限」を設定する。
・イレギュラーに備え、空白の時間を設定する。
という程度が、私たち凡人の計画錯誤対策となるでしょう。
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