独りよがりになっていないか。
2025年06月02日
ある村に二人の兄弟がいた。
兄は快活で村の子どもたちの中心的な存在だったが、弟は静かに本を読むのが好きな少年だった。
兄は弟の面倒をよくみており、弟を外へ連れ出して遊んでやっていた。
ある日も『山に行こう』と誘った。
弟は黙って兄の顔を見ていた。
兄は、『山の景色は素晴らしいよ!今日は天気がいいから、特に見晴らしがいいと思うよ』
兄は弟に景色を見せて喜ばせてやりたかった。
兄が弟を連れて山に登る途中、弟は海の方を見ていた。
山の頂上に着くと、素晴らしい景色が広がっていた。
兄は言った。『どうだ。いい景色だろう!』
弟は、黙って頷いた。
数日後、弟はぽつりと兄に言った。
『僕は、兄さんがどこへ行きたいかは、いつもよく分かる。でも、僕の心がどこへ行きたいか、兄さんは考えたことある?』
兄は驚いた。今まで弟は文句を言わずについてきていたから、不満などないと思っていた。
しかし、その夜、兄はふと気づいた。弟が見たかった景色を何も知らなかったことに。
弟は、海が見たかったのだ。
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私達は、相手のためを思って、色々なことをしてあげようとしたり、助言をしたりすることがあります。
「この方が、きっと相手のためになる!」
「相手は喜ぶはずだ!」
しかし、それが独りよがりなのではないか、考えたことがあるでしょうか。
「私はいつも相手のことを考えている。私は正しいことをしている」
そう断言できる人ほど、実は、独りよがりになっている可能性が高い、という可能性もあります。
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