魔法の種
小さな村にマサキという青年が住んでいました。マサキは、村一番の怠け者と噂されていました。
「今日やろう、は、ばかやろう」と口癖のように言い、どんな仕事も後回しにしていました。
そのため、彼の畑は荒れ果てていました。
ある日、マサキの家の前で旅人が倒れていました。
マサキは、旅人を家に入れてご飯を食べさせ、布団に寝かせて看病しました。
旅人は元気になり、村を出る時に、マサキに一粒の種を差し出し、こう言いました。
「この種は、魔法の種だ。この種を育てることで、豊かな実りを得られるだろう。しかし、この種を放置すれば、何の恵みも受け取れない。」
マサキは早速その種を土に埋め、「魔法の種なら勝手に育つだろう。」と考えて放っておきました。
しかし、魔法の種からは、芽は出ませんでした。
ある日、村を大きな嵐が襲いました。
嵐は村の作物をなぎ倒し、翌日には多くの畑が荒れ果ててしまいました。
村人たちは食糧不足に苦しみ始めましたが、勤勉な者たちは少しずつ蓄えていた穀物で何とかしのいでいました。
一方、マサキの畑には何もなく、彼は飢えに苦しむことになりました。
そんなある日、再びあの旅人がマサキのもとを訪れました。
「マサキよ、もう一粒だけ種をあげよう。これが最後だ。毎日育てれば豊かな実りを得られるが、一日でも怠ければ、種は枯れてしまうだろう。」
マサキは嵐でひどい経験をしたので、心を入れ替えました。
「今度こそ、きちんと育てよう」
翌日からマサキは毎朝早起きをし、種に水をやり、畑の草を丁寧に取り除きました。
最初は慣れずに大変でしたが、一つずつ作業をこなすうちに、少しずつ成長していく芽を目にし、やる気が湧いてきました。
やがてマサキの畑は、村一番の立派な作物で満たされるようになりました。
その作物は嵐にも負けず、村人たちの助けにもなりました。
マサキは村人たちから感謝され、初めて心からの誇りを感じました。
村人たちは、マサキを羨ましがり、マサキに頼みました。
「私達にも魔法の種をくれないか。作物が十分に育たないんだ」
マサキは村人たち言いました。
「実は、魔法の種なんてものは、本当は存在しないことに気づいたんだ。ただ、小さな行動を毎日積み重ねることが、本当の『魔法』で、この魔法は、何でも実現できるんだ。」
私達は、どうしても、物事を先延ばしにしがちです。
いざ始めても、「今日は疲れているから、明日でいいか」と先延ばしにしがちです。
しかし、たゆまない毎日の小さな行動の積み重ねでしか、大きな結果は得られません。
今日から、魔法の種を育てよう。
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