多方面から物事見る必要性
こんにちは。
弁護士の谷原誠です。
ある弁護士事務所で、ボスの弁護士が勤務弁護士に、新しく原告側で受任した訴訟について勝訴できるように戦略を立てるように指示をしました。
勤務弁護士は頑張って調査し、「おそらく勝訴できると思います」と報告しました。
ボスの弁護士は、「それは困った。実は被告側で受任をしたんだ」と答えました。
その訴訟は、結果として、被告側が勝訴した。
相手方の手の内、戦略、見え方が全てわかっていたからです。
さて、
私達には、いろいろなバイアス(思考のかたより)がかかっています。
そのうちの一つに「自信過剰バイアス」があります。
これは、自分の能力を過大評価して過剰な自信を持ってしまうというものです。
はじめから被告側の目線で証拠関係を見ていたら、自信過剰バイアスにより、勝訴できると自信を持ってしまう可能性がありました。
その結果、自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める「確証バイアス」によって、証拠を自分に都合よく見てしまうおそれがありました。
しかし、先の例では、はじめに原告側から証拠関係を見たため、原告が証拠を都合よく見ると、どう見えるのか、をすっかり理解することができました。
その上で、被告側にたって戦略を立てたため、勝訴することができたのです。
私も若い時にこのようなバイアスによって、証拠を見誤ってしまい、手痛い失敗をしたことがあります。
その失敗を経て、私は、証拠を見る時に、依頼者側、相手側、裁判官側の全ての方向から見るように努力しました。
この考え方は、裁判のみに当てはまるものではありません。
交渉、説得、話し合い、会議、普段のコミュニケーションなど、あらゆる場面で有効な方法といえると思います。
自然にできている人はいいのですが、できていない、という人は、少しずつ努力してみましょう。
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