代償を支払っていますか?
前田君は、社会人2年目。
就職難の中、なんとか受かった中小企業メーカーに就職した。
本人としては不本意である。
有名アパレルメーカーで働きたいと思っていたからだ。
同社は、近く社会公用語が英語になるという。
そこで、前田君は、英語を勉強し、同社に転職を目指すことにした。
教材を買い込み、英会話学校にも申し込んだ。
初めのうちは一生懸命勉強したが、前田君が好きなアニメを見たり、友だちと飲みに行ったりするのを我慢していたので、ストレスが溜まってきた。
「ストレス溜めて勉強して仕事に支障が出るより、たまには発散した方がいいだろう。今日の分は明日やろう」
と自分を正当化し、好きなアニメをたっぷり観た。
その翌日、前田君は、友だちから飲みに誘われた。
「たまには飲みにも行かないと、友だちなくしちゃうからね。勉強は明日やればいいや」
そして、前田君は、友だちと飲みに行って痛飲した。
その翌日は飲み過ぎで、体調が悪く、やはり勉強ができなかった。
そうこうしているうちに、勉強の習慣がなくなってしまい、元の生活に戻ってしまった。
吉田君は、前田君と同じ職場の同期だ。
彼も、やはり前田君と同じくアパレルメーカーへの転職を目指し、前田君と同時期に英語の勉強を始めた。
吉田君は、ゴルフ好きだが、英語をモノにするまでは、ゴルフを禁止することにした。
そして、友だちからゴルフに誘われても全て断り、今までゴルフ練習に使っていた時間も、全て勉強に充てた。
2年後、吉田君は英語をモノにし、希望していたアパレルメーカーへ転職することができ、給料も大幅アップした。
晴れてゴルフも解禁して、休日にはラウンドを楽しんでいる。
一方の前田君はといえば、いまだに英語をやろうとか、簿記をやろうとか悩みながら、休日にはゴロゴロしながらアニメを観ている。
この2人の明暗を分けたのは、何だろうか?
それは、「英語習得の代償として、何を差し出したか?」ということだ。
前田君は、英語を習得したいと強く願ったが、結局何も代償を差し出さなかった。
しかし、吉田君は、英語を習得するために、好きなゴルフを代償として差し出し、我慢をしたのである。
何かを得るときには、必ず代償が支払われることになる。
ダイエットを成功させたいと思えば、食べたいものを我慢するという代償を支払う必要がある。
有酸素運動を継続するという代償を支払う必要がある。
他人に好かれたければ、自分のわがままで好き勝手な振る舞いを代償として支払い、ある程度我慢しなければならないこともあるだろう。
簡単で当たり前のことだが、私たちは、往々にして、代償を支払うのをしぶり、その結果、欲しいものを得られずにいる。
この基本原則をよく心に刻み込んで生きていかなければならないだろう。