説得推論と心理学 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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説得推論と心理学

2020年03月14日

先日発信したメルマガから。

(ここから)

他人を説得する力を身につけたい。

これは、誰しもが思っていることでしょう。

そんな時に、参考となる古典に、アリストテレスの「弁論術」があります。

しかし、いかんせん、難しい。

私も読むのに骨が折れました。

アリストテレスは、説得のための3要素として、

・言論そのもの

・聞き手の感情

・話し手の人柄

を挙げています。

「言論そのもの」というのは、話の論理性や証拠の強さ等により、説得力が増すことを言います。

「聞き手の感情」というのは、聞いている人が怒っているか、悲しんでいるか、等の感情次第で話に対する共感度が大きく異なることを言います。

「話し手の人柄」というのは、聞き手が話し手に好意や信頼を持っていると、説得力を増すことを言います。

このうち、「言論そのもの」の中に、「説得推論」というものがあります。

「推論」とは、「何らかの論理規則に基づいて既知の事柄から未知の事柄を明らかにすること。」ということです。

簡単に言うと、理由づける、ということですね。

「理由付けをすると、説得力が増す」ということです。

実は、これを裏付ける心理学の実験があります。

ハーバード大学の社会心理学者エレン・ランガーが、コピー機待ちの列に並んでいる学生に、割り込ませてくれるよう依頼をする実験をしました。

その際、彼らには次のようなことを言いました。

(1)「コピーするページが5ページあるんです。先に使ってもいいですか?」

(2)「コピーするページが5ページあるんです。先に使ってもいいですか?実はとても急いでいるので」

(3)「コピーするページが5ページあるんです。先に使ってもいいですか?実はコピーをしないといけないので」

それぞれ、何パーセントの人が先にコピーを取らせてくれたでしょうか?

(1)は60%です。

(2)は94%。

驚きは(3)です。何の実質的な理由付けになってしません。

しかし、(3)は、93%という結果が出ています。

つまり、論理性があろうとなかろうと、理由付けをすることにより、説得力が高まる、ということです。

ですから、他人に何かを頼もうとするときには、

「○○してくれないか?なぜなら、○○だから」

と、理由をつける習慣をつけましょう。

これまでより、少しでも説得力が増すことになるでしょう。

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