連帯保証禁止!? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
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連帯保証禁止!?

2011年06月23日

男は、平凡で幸せな生活を送っていた。

私立大学を卒業して電機メーカーに就職してすでに20年。

結婚して子供も2人いる。

住宅ローンは使ったが、なんとかマイホームも買えた。

趣味は、盆栽である。ここは年寄りくさい。

ある日、銀行から内容証明郵便が来た。

友人の経営する会社に融資した貸金残額約1億円を、連帯保証人として返還せよ、との内容だ。

意味がわからなかったが、しばらくして思い出した。

数年前、友人に頼まれて、友人の経営する会社の連帯保証人になったのだ。

あの時友人は、「決して迷惑をかけないから」ということだった。

それを信じて連帯保証人になったのだ。

早速その友人の携帯電話に電話をしたが、電源が入っていない状態で、その後何度電話しても同じだった。

結局、男は銀行から裁判を起こされ、家を競売にかけられ、給料も差押されて退職を余儀なくされた。もちろん退職金の差押も受けた。

そんな状態である。妻からも離婚をつきつけられ、子供達と出て行ってしまった。

男は、家族も、仕事も、家も、全てを失ってしまったのだ。

私は、弁護士として、この男のような例を何度となく見てきた。

連帯保証人制度が作り出す悲惨な状況を目の当たりにしてきた。

金融庁は、ついに、この連帯保証人制度にメスを入れるようだ。

金融庁は、7月に改正を予定している金融機関に対する監督指針で、経営者の家族や知人らで、経営に直接関与していない第三者に対する個人連帯保証を原則禁止にする内容とのことである。

http://bit.ly/lhDH6J

金融機関にとっては驚愕の内容だ。

しかし、そもそも自分だけの信用で借りられない借金などしない方がいい。

過去の債務については、今回の改正は適用されないとのことだが、金融機関が新基準に準じて連帯保証人への請求を配慮するよう促すらしい。

私たち弁護士の仕事にも大いに影響があるところだ。

動向を見守りたい。