更新料を支払う義務があるか? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

更新料を支払う義務があるか?

2011年06月16日

賃貸借契約で、更新料を支払う義務があるかどうか(更新料の条項が有効か無効か)が争われていた裁判の最高裁判決が出ました。

結論は、更新料条項は有効。

判決文抜粋========================

更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借
契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは,前記(1)
に説示したとおりであり,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどという
ことはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対
し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判
上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当
然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからする
と,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人と
の間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人と
の間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ない
ほどの格差が存するとみることもできない。
そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新
料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特
段の事情がない限り,
消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基
本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが
相当である。

=============================

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715143324.pdf

これで一応の決着を見たか、と思いきや、明確な基準は示されていないように見えます。

更新料条項が有効となる要件は、

「更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特
段の事情がない限り,」

ということです。

個別事情によって、有効になったり、無効になったりする、ということです。

ただ、どういう場合に無効となるかを考えてみると、

相場賃料が10万円のところ、契約賃料11万円で、更新料は1年毎に6ヶ月、というように、経済合理性がないような場合です。

こんな物件を借りる人はほとんどいないでしょうから、ほとんどの場合、更新料条項は有効、という結論になるでしょう。

更新料については、更新時期に更新契約書を締結しない自動更新(法定更新)の時に、更新料支払い義務があるか、という問題もあります。

更新料の争いは、まだまだ続きそうです。