東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士24人が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は約30冊あります。
TV出演、取材、執筆、研修、セミナー講師を受け付けていますので、ご連絡ください。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士24人が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は約30冊あります。
TV出演、取材、執筆、研修、セミナー講師を受け付けていますので、ご連絡ください。

学校部活動柔道事故で慰謝料など1億8700万円の損害賠償判決!

2018年06月08日

【事件の概要】

高校1年生の柔道部員が試合前の練習中、投げられて頭を打ち、急性硬膜下血腫を発症した事故について、顧問教諭に過失が認められ、慰謝料など合計1億8700万円余の支払が命じられた裁判例。
(東京高裁平成25年7月3日判決、判例時報2195号20頁)

1.学校の部活動における顧問教諭の注意義務

学校の部活動で生徒が怪我をしたり、死亡するなどの事故が発生することがあります。

その場合、生徒には、治療費の他、後遺症が残ってしまった時などの精神的損害や労働能力が失われてしまったことなどの将来の逸失利益などの損害が出ます。

もし、この損害について責任がある者があるならば、被害者は、慰謝料などの損害賠償請求権を有することになります。

たとえば、柔道部で怪我をする事故が発生した場合、投げた生徒に怪我をさせる故意や過失があった時は、その生徒に対して慰謝料などの損害賠償できる可能性があります。

また、部活動は、顧問教諭の指導のもとに行われるものであることから、顧問教諭に指導上の過失がある場合には、顧問教諭に対して慰謝料などの損害賠償請求できる可能性があります。

さらに、学校は顧問教諭の雇用主なので、学校(公立校の場合には国や地方公共団体)に対して慰謝料などの損害賠償請求できる可能性があります。

顧問教諭の監督指導義務に関しては最高裁判決があります。

「部活動は、学校の教育活動の一環として行われるものである以上、その実施について、顧問の教諭を始め学校側に生徒を指導監督し、事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務がある」

「ただし、課外のクラブ活動が本来生徒の自主性を尊重すべきものであることに鑑みれば、何らかの事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情のある場合は格別、そうでない限り、顧問の教諭としては、個々の活動に常時立会い、監視指導すべき義務まで負うものではない」(最高裁昭和58年2月18日判決)

したがって、何らかの事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情があったかどうかが問題とされます。

そして、この点を判断するには、クラブ活動自体に内在する危険の程度、生徒の年齢・体格・健康状態、技能レベル、環境を考慮することになります。

この観点からすると、

●技能を競い合う格闘技である柔道には,本来的に一定の危険が内在しているから,柔道の指導,特に,心身共に発達途上にある高等学校の生徒に対する柔道の指導にあっては,その指導に当たる者は,柔道の試合又は練習によって生ずるおそれのある危険から生徒を保護するために常に安全面に十分な配慮をし,事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務を負う。

●柔道は互いに相手の身体を制する技能の習得を中心として行われるものであることから,投げ技等の技をかけられた者が負傷する事故が生じやすい。

●指導教諭としては,健康状態や体力及び技量等の当該生徒の特性を十分に把握して,それに応じた指導をすることにより,柔道の試合又は練習による事故の発生を未然に防止して事故の被害から当該生徒を保護すべき注意義務を負っている。

●本件柔道部の顧問教諭には,練習に参加した生徒の体力,技量,健康状態等を十分に把握し,それに応じた適切な指導をして,練習から生ずる生徒の生命及び身体に対する事故の危険を除去し,生徒がその事故の被害を受けることを未然に防止すべき注意義務がある。

2.本件の事案

●被害者は、15歳の高校1年生で、柔道経験がなかった。

●事故は、被害者が入部して1ヶ月後に発生したものであり、被害者の柔道の技術は未熟であった。

●相手の柔道部員は1年生ではあるが、大会の大将に任命されており、両人の技量が違うこと、試合前で試合に準じた体勢で望むことが予想できた。

●教諭は、生徒が前前に脳しんとうと診断されたことを聞いていた。

●教諭は、事故発生時において、練習が見える場所にいなかった。

3.あてはめ

●上記の事実関係のもとにおいては、本件加害者と被害者が練習をすれば、被害者が何らかの傷害を負う危険性が高いことは、十分予見可能であった。

●生徒が前日に脳しんとうと診断されたことを聞いていたのであるから、教諭としては、この生徒を練習に参加させないように指導するか、仮に、参加させるとしても、生徒の安全を確保するために、練習方法等について十分な指導をするべきであり、そうすれば、事故は回避可能であった。

以上より、教諭の注意義務違反を認め、1億8700万円余の支払を命じました。

このように、学校のクラブ活動(部活動)に起きた事故について、教師は、生徒達の身体に危険が生じないように配慮する注意義務があり、その注意義務を怠った場合には、慰謝料などの損害賠償責任が発生する場合があります。

学校もです。

もし、お子さんが学校の部活動中に事故に遭われた場合には、弁護士にご相談することをおすすめします。

ご相談は、こちらから。
弁護士による学校事故SOS