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過労自殺に慰謝料他約7000万円の賠償命令

2018年03月02日

今回は、長時間労働による自殺(過労自殺)の損害賠償訴訟について解説します。

「うどん店店長、長時間労働自殺に賠償命令6960万円 大阪、うどん店運営会社に」(2018年3月1日 産経新聞)

2009(平成21)年、大阪市内で店舗を展開するうどんチェーンの店長だった男性(当時34歳)が自殺したのは、長時間労働によるうつ病が原因だとして、遺族が運営会社側に約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決がありました。

大阪地裁は、自殺と業務との因果関係を認め、約6960万円の支払いを命じました。

判決によると、男性は2005(平成17)年からアルバイトの調理師として勤務し、翌年に正社員に採用。
2008(平成20)年5月には新店の店長になったが、同年9月頃にうつ病を発症し、翌年4月に自宅で自殺したということです。

裁判では、自殺と業務との因果関係が争点となりました。
男性を含む正社員の勤務時間がシフト表に記載されておらず、正確な記録がない中、裁判長はパート従業員らの勤務時間や証言などから男性が2008(平成20)年5月~7月の間に82日連続で勤務し、1ヵ月当たり100時間以上の時間外労働があったと算定。

「業務による強い心理的負荷で、うつ病を発症し自殺に至った」と判断し、「会社と社長、取締役が従業員の労働時間を適正に管理する義務を怠った」と指摘しました。

なお、会社側は長時間労働を否定し、労災認定されていなかったということです。

近年、さまざまな業界で過労自殺の事案が増えています。

過労自殺とは、長時間労働やサービス残業などの過重労働、パワハラやセクハラなどで精神的、肉体的に追い詰められることなどから自殺に至るものです。
法的には、労働災害(労災)における過労死の中の類型となります。

厚生労働省が公表している平成28年度の統計データを見てみます。

・脳・心臓疾患での労災請求は825件(前年度比30件増)で、そのうち認定されたのは260件(同9件増)。

・精神疾患を発症し、労災請求した数は1586件で、そのうち認定されたのは498件となり両方とも過去最多。

・自殺や自殺未遂者で認定されたのは84人。

・認定の原因で多かったのは、「嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」(74件)、「仕事内容や仕事量の変化」(63件)、「セクハラを受けた」(29件)の順。

・認定された498件の1ヵ月の平均時間外労働は、100時間以上が31・7%を占め、160時間以上は52件(10・4%)あった。

・請求が多い業種は、最多が「医療・福祉」の302件、「製造業」の279件、「卸・小売業」の220件と続く。

・年代別では、40代が542人と最多で、30代が408人、50代が295人と続く。

自殺は故意による死亡です。
そのため、以前は労災保険給付の支給制限を定める「労災保険法」
(正式名称:労働者災害補償保険法)において、自殺の場合は保険給付されないとされ、労災認定が否定されることが多くありました。

しかし、近年では過労自殺を労災認定する例が増えてきています。

法的には、過労自殺の明確な定義はありません。
そこで、労災認定については厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」という行政通達(平23・12・26 基発1226第1号)を基準とします。

詳しい解説はこちら⇒
過労自殺は、どのような場合に労災認定されるか?