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労災転落事故で損害賠償請求

2018年01月30日

今回は、派遣社員の仕事中の転落による死亡事故について、刑事事件と労災、民事における損害賠償の各面から解説します。

「派遣社員転落死、運送会社を在宅起訴 検察審査で不起訴不当」(2018年1月25日 産経新聞)

2015(平成27)年、大阪府の梱包会社の倉庫で派遣社員の女性(当時46歳)が転落死した事故について、大阪地検は、安全管理を怠り女性を死亡させたとして、労働安全衛生法違反と業務上過失致死の罪で同社の取締役(58)を在宅起訴し、法人としての同社も同法違反罪で起訴しました。

起訴状によると、被告は労働者の指揮監督や安全管理を担当していたが、同年7月18日、作業の危険を防止する対策を怠ったことで、台車で商品の運搬をしていた女性が倉庫2階から転落し、同24日に頭蓋内損傷により死なせたとしています。

この事故については、大阪地検が不起訴処分(嫌疑不十分)にしていたところ、2017(平成29)年10月、大阪第1検察審査会が「証拠の評価に納得できない点がある」と「不起訴不当」を議決し、地検が再捜査していたということです。

会社(事業者)は、従業員(労働者)の労災事故を防止しなければいけません。

「労働安全衛生法」
第24条
事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

これに違反した場合は、6ヵ月以下の懲役、又は50万円以下の罰金に処されます。(第119条)

また、刑事事件としては、業務中の労働者にケガや死亡の事故が発生した場合、事業者は業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。

「刑法」
第211条(業務上過失致死傷等)
1.業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

労災(労働災害)とは、業務を起因として労働者がケガや病気、後遺症による障害を負ったり、死亡に至ることです。

労災が発生した場合、会社が労災手続きを行ないます。
労災が認定された場合には、被害にあった労働者に労災給付金が支給されます。

しかし多くの場合、ここで問題が発生します。
重大なケガや死亡事故のケースでは、労災給付金で被害者の損害賠償金すべてをカバーできるわけではないからです。

このようなケースにおいて、労働者やその遺族は、民事において会社に対して損害賠償請求をすることができる場合があります。

ここでは、過去の裁判例を見てみましょう。

「大阪高等裁判所 平成28年4月28日判決」
労働者が足場の解体工事に従事していたところ、足場から墜落して、両手関節粉砕骨折等の傷害を負い、両手関節の可動域制限の後遺障害(併合第9級)が残った事案で、裁判所は、雇用主である会社および元請会社に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償として、また、雇用主会社の代表取締役に対して、会社法429条1項に基づく損害賠償請求として1230万4477円の支払を命じました。

親網の安全帯の取り付け設備を設置する等、墜落を防止するための措置を講じていなかった、という理由です。

「福岡地方裁判所 平成26年12月25日判決」
雇用主会社と雇用契約を締結し、派遣先会社のプラントに派遣されて業務に従事していた労働者が、安全帯をつけずにパイプレンチでスクリューとモーターの連結部分を回す作業に従事していたところ、乗っていた道板が折れ、約3m30cmの高さからコンクリート土間に墜落し、脊柱圧迫骨折の傷害を負い、脊柱に中程度の変形を残すものとして後遺障害等級8級、背部痛として後遺障害等級12級、左下肢の疼痛として、後遺障害等級14級に相当する後遺障害を残しました。

この事案で、裁判所は、雇用主会社と派遣先会社の責任を認め、連帯して695万2807円を支払うよう命じました。

道板が労働者の体重に耐え得るものかあらかじめ確認し、安全でない道板を撤去し、より頑健かつ安全なものと交換する等の義務や、道板上で作業しないこと及び作業時に安全帯を使用することについて労働者が遵守するよう管理監督すべき義務を怠った、というのが理由です。

会社が労働者に労働させる際には、ケガや病気、死亡事故を防ぐために安全に配慮する義務=安全配慮義務があります。(労働契約法第5条)
また、使用者としての使用者責任もあります。(民法第715条)

従業員や遺族は、民事において不法行為責任や安全配慮義務違反として損害賠償金を請求することができます。

労災問題が起きた時は、法的な対応や手続きは難しいので、労災に詳しい弁護士に相談するのがいいと思います。

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