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火炎放射器をむやみに作ると・・・

2018年01月24日

社会生活を送るうえでは、作っていいもの、使っていい場所などのルールや一般常識がありますが、それを逸脱したら、たとえ法律に明確な規定がなくても犯罪となる場合があります。

今回は、そんな事件を解説します。

「自作火炎放射器“自慢したくて”公園で使用動画」(2018年1月23日 読売新聞)

神奈川県警横須賀署は、自作した火炎放射器を公園で使用したとして、横須賀市の派遣工員の男(20)を軽犯罪法違反(火気乱用)容疑で横浜地検横須賀支部に書類送検しました。

事件が起きたのは、2017年8月と9月の未明。
同市の公園内で、建物などへの延焼の恐れがあることに注意せず、火炎放射器を使って炎を出し、その様子を撮影した映像を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。
「次はガソリンを使う」などと話していたということです。

容疑者の男は、作り方をインターネットで知ったとみられ、調べに対して「動画を見せて自慢したかった。インターネットで販売もしたかった」などと供述しているようです。

自作した火炎放射器は鉄やアルミによる金属製で小銃のような形をしており、長さ約60センチ、重さ約3キロ。
先端の火にガスを使って灯油を霧状に噴射することで火炎を出す仕組みで、同署が行なった実験では2メートルほどの炎が出たということで、ガソリンを使えば、さらに威力が増すとしています。

では、条文を見てみましょう。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

9 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者

本号は「火気乱用の罪」とも呼ばれるもので、ポイントとなるのは次の3点です。

①燃えるようなもの
又は
②引火しやすいもの

③附近で火をたく、火気を用いる

建物や森林以外で燃えるようなものといえば、身の回りにたくさんありますが、たとえばこの罪では、数枚の紙や小枝など燃えても公共の危険が発生するようなおそれがないものは該当しないと考えてよいでしょう。

ガソリン以外で引火しやすいものとは、たとえば灯油、軽油などの石油製品の液体燃料やアルコール類、ガスなどの気体燃料、火薬類などが含まれます。

また、火をたく、火気を用いる行為については、一般常識として考えられる範囲、程度の注意を払わなかった場合に本号が適用されると考えられます。
逆に、相当な注意をしていれば本号の罪は成立しないということになります。

今回のケースでは、火炎放射器の製造や所持を直接的に規制する法律がなかったため、警察は燃えやすいものの近くで火を使った者を罰する「火気乱用の罪」に踏み切ったということですが、公園で火炎放射器を使ったら、いくら「相当の注意を払っていた」と弁解しても、それは認められないでしょう。
2メートルの炎が飛び出すというのですから、危険極まりない行為です。

なお、火炎放射器で出した炎が近隣の建物などに延焼して火災を引き起こした場合には、刑法の「放火及び失火の罪」や「重過失失火罪」などに問われる可能性があります。

また、損害賠償責任も発生します。

詳しい解説はこちら⇒
放火をしたのに器物損壊罪で逮捕された真相は!?

失火責任の場合の損害賠償責任は!?(隣人トラブル)


放火罪は非常に重い罪です。
最高刑は殺人罪と同様に死刑となるので、安易な火の取扱いは絶対にしてはいけません。

火炎放射器の歴史は古く、ヨーロッパでは中世の東ローマ帝国、アジアでは宋の時代にすでに兵器として使われていたようですが、現在の形になったのは、1901年にドイツの技師が開発してからだそうです。

その後、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争でも使用され、大きな被害をもたらしました。

また、一般には除草や害虫駆除にも使われたようですが、やはり趣味で使ってはいけませんね。