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悪ふざけが犯罪に!?

2017年03月02日

“バカッター”と呼ばれる人たちの、ツイッターへの“悪ノリ投稿”が問題になっています。

今回は、ほんの冗談やいたずらのつもりでも、それが人の業務を妨害するような度を越したものであれば犯罪になる、ということを解説します。

「威力業務妨害 悪ふざけツイッター投稿 20歳男2人逮捕」(2017年2月28日 毎日新聞)

牛丼チェーンの店内で嘔吐(おうと)する映像などをツイッターに投稿していた男たちが逮捕されたようです。

報道内容から事件の経過をさかのぼってみてみます。

・2017年2月28日、千葉県警船橋署は、飲食店で悪ふざけした様子をツイッターに投稿して営業を妨害したとして、同県船橋市の会社員の男(20)と無職の男(20)を威力業務妨害の疑いで逮捕した。
事件が発覚したのは、ある1本の電話からだった。

・2017年2月17日、千葉県船橋市にある牛丼チェーン店に外部の人間から電話が入った。
その内容は、「店内で『男気水飲み勝負』をしたという投稿がネット上で拡散されている」というものだった。

・同日、運営会社が千葉県警船橋署に相談。
捜査の結果、次のことがわかった。

・犯行が行われたのは、2017年1月3日の朝。
2人の容疑者は、友人ら数人と共謀して牛丼チェーン店内で、じゃんけんの勝者が大量の水を一気飲みしては水差しの中に嘔吐し、その様子を撮影。
動画をツイッターに投稿して不特定多数が見られる状態にしていた。

同店は消毒作業のために一時的に閉店したということで、2人は「ハメを外しすぎた」と容疑を認めているということです。
人の業務を妨害する罪として、刑法には2つの罪が規定されています。
ひとつは「偽計業務妨害罪」、そしてもうひとつが「威力業務妨害罪」です。

「刑法」
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
虚偽の風説の流布とは、客観的真実に反する内容の噂を不特定多数の人に伝播させることで、偽計とは人をあざむく計略のことをいいます。

たとえば、「ラーメン50人前」などとウソの注文をすると偽計業務妨害罪に問われる可能性があるわけです。

また、2016年4月に熊本市で最大震度7の地震が発生した際、「動物園からライオンが逃げた」というウソのツイートを投稿した20歳の会社員が逮捕されています。

詳しい解説はこちら⇒「オオカミ少年が逮捕!」
https://taniharamakoto.com/archives/2356/

さて、今回の容疑は威力業務妨害罪です。
威力とは、法的には次のように定義されています。

「人の意思を制圧するような勢力をいい、暴行・脅迫はもちろん、それにまで至らないものであっても、社会的、経済的地位・権勢を利用した威迫、多衆・団体の力の誇示、騒音喧騒、物の損壊・隠匿等、およそ人の意思を制圧するに足りる勢力一切を含む」

料理を扱う飲食店で、嘔吐を繰り返し、その様子を撮影してネット上で公開するとは、もはや“いたずら”などではなく“威力”による犯罪であると判断されたということでしょう。

近年、インターネットやSNSの進化にともない、さまざまな“悪ノリ投稿”が問題となり、多くの逮捕者が出ています。

たとえば、学校や市役所などへの爆破予告や無差別殺人予告、無言電話や脅迫電話、飲食店やテーマパークなどの娯楽施設等での迷惑行為などです。
中には、スーパーマーケットの店内で数十匹のゴキブリをまき散らして逮捕された事例もあります。

詳しい解説はこちら⇒「いたずらが犯罪になる場合とは?」
https://taniharamakoto.com/archives/1405

なお、ここまでは刑事事件の話になりますが、さらに容疑者たちは民事事件として牛丼チェーン店側から損害賠償請求をさせる可能性もあります。

一時閉店したために得られなかった売上や消毒作業にかかった清掃料金、また精神的苦痛への慰謝料など、20歳の青年にとってはけっして安くはない損害賠償金を請求される可能性があります。

仮に、損害賠償金を支払えないとなれば給料は差し押さえられ、それどころか刑事事件で有罪ともなれば会社から解雇される可能性もあるでしょう。

本人たちにとっては悪ふざけのつもりでも、悪質な迷惑行為やネットへの投稿などは犯罪となり、大きな代償を払うことになりかねません。

悪ふざけは、かわいい程度にとどめておきましょう。