質屋で嘘を書くと犯罪!?
あけましておめでとうございます。
みなさんは、無事に新たな年を迎えられたことと思いますが、中には年を越すお金がない…ということで昨年末には大変な思いをした人もいるかもしれません。
そんな時、以前であれば質屋にお金を借りに行ったという経験をした人もいるでしょう。
しかし、近年では質屋の数が右肩下がりに減少している、という記事をネットで見かけました。
「消えゆく質屋、4割が商売自体を“知らない”」(2016年12月21日 ダイヤモンド・オンライン)
鎌倉時代から続くともいわれる質屋業は、1958(昭和33)年の2万1539店がピークで、その後は減少し続け、2015(平成27)年には3034店と85%以上も減少しているそうです。
主な原因は、消費者金融(サラ金)やカードローンなど金融サービスの多様化、ブランド品や宝石などの買い取り店・リサイクルショップの増加、そして中国経済の衰退などが指摘されています。
質屋の商売の形態は、物を担保(質)にして金を貸し、期限までに借主が返済できなければ貸した金の代わりにその物の所有権を得て、「質流れ」として現金に換えるというものです。
利用者としては、売却してしまえば2度とその品物は自分の元には返ってきませんが、大切な物であれば質入れ後に元金と質料を支払えば返ってくるわけです。
しかし、近年では質屋を知らないという若者も増加しており、大阪で行われたアンケートでは44%が質屋でお金を借りることができるのを知らないという結果が出たようです。
「質屋営業法」は、質屋の営業者を規制する法律ですが、「軽犯罪法」に、質屋の利用者に関する罪が定められておりますので、解説したいと思います。
「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十七 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
これは、「氏名等不実申告の罪」とも呼ばれるもので、ポイントは次の2点です。
① 虚偽の申し立てをする
② 不実の記載をさせる
あなたが質屋でお金を借りるために、自分が持っていたブランド品のバッグや時計などを質に入れたとします。
その際、質屋は「質屋営業法」で定められた質物台帳や質取引人名簿などの帳簿に必要事項を記載しなければいけません。
「質屋営業法」
第14条(帳簿)
質屋は、内閣府令で定める様式により、帳簿を備え、質契約並びに質物返還及び流質物処分をしたときは、その都度、その帳簿に左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 質契約の年月日
二 質物の品目及び数量
三 質物の特徴
四 質置主の住所、氏名、職業、年令及び特徴
五 前条の規定により行つた確認の方法
六 質物返還又は流質物処分の年月日
七 流質物の品目及び数量
八 流質物処分の相手方の住所及び氏名
たとえば、あなたが氏名、住所、職業などを偽って質入れしたりすれば軽犯罪法違反になります。
質屋で氏名、住所、職業などをそのまま書くのは恥ずかしいかもしれません。しかし、嘘を書くと犯罪になることを憶えておきましょう。
とろこで、不倫カップルが不倫旅行をして、旅館に宿泊する際、配偶者にバレないようにと、虚偽の氏名や住所を記載すると、犯罪になるのをご存じでしょうか?
「旅館業法」という法律があります。
第6条 営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。
2 宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。
第12条 第六条第二項の規定に違反して同条第一項の事項を偽つて告げた者は、これを拘留又は科料に処する。
かといって、本当の名前を書いて、配偶者にバレた場合は離婚原因となり、不倫の相手は損害賠償の対象となります。
嘘をつくも地獄、本当のことを言うも地獄です。
心当たりのある方、くれぐれもご注意ください。
合掌。