軽度外傷性脳損傷(MTBI)を認めた判決
交通事故で、軽度外傷性脳損傷(MTBI)になったとして、被害者が、加害者に対し、約1億5000万円の損害賠償を求めて裁判を起こしました。
1審東京地裁は2010年2月、脳損傷を否定し、自賠責の後遺障害等級を14級程度と低く認定し賠償額を約530万円にとどめたところ、2010年9月9日、控訴審である東京高裁は9級に引き上げ約2000万円の支払いを命じたそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100912-00000002-mai-soci
軽度外傷性脳損傷(MTBI)は、交通事故や労災事故、スポーツ事故などによる脳損傷のうち、重度外傷性脳損傷、中等度外傷性脳損傷と区別される脳損傷です。
人口10万人あたり100人から550人の患者が発生しているといわれています。「軽度外傷性脳損傷」(石橋徹著、金原出版)
「軽度」と言っても症状が軽いという意味ではなく、麻痺や高次脳機能障害などの重篤な症状が発生することもあります。
そして、この軽度外傷性脳損傷は、脳挫傷などを原因とせず、むち打ち損傷などを契機としても発生することに特徴があります。
ただ、労災基準や、自賠責後遺障害等級認定基準は、現在、MRIなどで脳損傷が見られないと脳損傷を原因とする後遺障害等級が認定されないシステムになっており、裁判でも多くの場合、その認定基準を尊重した結論を出しているので、MTBI患者が損害賠償事件において救済されない状態が続いています。
その意味で、今回の東京高裁の判決は、画期的な判決と言えるでしょう。
みらい総合法律事務所でも、軽度外傷性脳損傷の被害者からの依頼を受け付けており、現在裁判所で闘っているところです。
被害者は大変苦しんでいます。今回の判決を励みに、裁判所に認めさせるべく頑張りたいと思います
軽度外傷性脳損傷 (SCOM 035)
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