仕事中出会い系サイト解雇無効
2004年11月18日
久留米工業技術専門学校(福岡県広川町)の50代の元男性教師が学校のパソコンを使って勤務中に出会い系サイトを利用していたとして、学校側は、平成15年9月に同教師を懲戒解雇しました。
同教師は解雇無効を争って提訴。福岡地裁久留米支部は、17日、解雇無効を認め、学校法人・久留米工業大学に15カ月分の給与など約1000万円の支払いを命じました。解雇を無効にした理由としては、「仕事に支障は来しておらず反省もしており、懲戒解雇は過酷すぎる」ということです。
懲戒解雇は解雇予告手当も出ない最も厳しい懲戒処分です。懲戒処分は(1)懲戒事由が就業規則に明記されていること、(2)先例と平等な取り扱いがなされていること、(3)懲戒処分の程度が相当であること、(4)適正な手続で行われること(弁明の機会が与えられること等)、という要件が必要です。そして、懲戒解雇は、最も思い懲戒処分ですから、重大な企業秩序違反がある場合にのみ認められます。これらの要件が満たされない場合には、解雇権の濫用として解雇が無効となります。
そして、判決で1,000万円という多額の支払いが命じられたのは、解雇された場合には、出勤は停止され、給料も支払われませんが、解雇が無効だとすれば、ずっと社員としての身分があったことになり、解雇から判決が出るまでの間の給料が支払われるべきだ、との考え方によります。したがって、訴訟が長引いた末に解雇無効と判断されれば、それだけ多額の支払命令がなされることになります。本件では、その他に慰謝料請求がなされてかどうかは不明です。
確かにこの教師の行為は、服務規律違反で許されるものではありません。しかし、いきなり懲戒解雇というのはいきすぎのような気がします。