司法試験合格者年間三千人撤廃
政府の法曹養成制度検討会議は27日に、司法試験の合格者数を「年間3千人程度」とした政府目標の撤廃などを盛り込んだ中間提言案(座長私案)を公表したとのことです。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG27041_X20C13A3EA1000/?dg=1
この「年間三千人程度」という政府目標は、「国民にとって身近で使いやすい法律サービスの実現」という司法制度改革の理念を実現すべく、法律家の人数を増やそう、との意図で掲げられたものです。
しかし、弁護士の業務の広がりは予想を下回り、新たに司法修習を終えた人たちの就職先がない状況です。
日本弁護士連合会によると、昨年12月に司法修習を終えた人のうち就職先となる法律事務所などが見つからず、弁護士登録を見送った人は26%に上ったとのこと。4人に1人が就職できていないことになりますね。
司法修習修了者が2,080人、弁護士未登録者が546人とのことです。
2007年時点では4%でしたから、この就職難の増加割合は深刻です。
弁護士事務所での受け入れ人数は、合格者数が増えても増えませんので、もし、合格者が3,000人だとすると、弁護士未登録者は、単純計算で1,466人となり、約半分の人たちが就職できない、という驚くべき結果となります。
このままの状況が継続すれば、司法試験は生涯の仕事を得るために色々なものを犠牲にしてでも取り組むべき試験ではなく、単に法律知識を身につけ、弁護士事務所への就職を申し込める資格を得るだけの試験、という感覚になりかねません。
そのようなことになれば、優秀な人材が受験を回避することは容易に予想されるところです。
そうなれば、法律サービスの質の低下を招き、「国民にとって身近で使いやすい法律サービスの実現」という司法制度改革の理念に反する結果となるでしょう。
これらのことを考えると、今回、「年間三千人程度」という政府目標を撤廃する方向で議論が進んでいることは評価できるところです。
さらに、望ましい年間目標数値まで設定できるよう期待したいと思います。