公訴時効と消滅時効
福井県敦賀市で、2003年4月に2歳の男児を車でひき逃げし、死亡させた事件に関し、福井県警は、2008年1月29日に、業務上過失致死罪で加害者の男を逮捕しました。
刑事訴訟法には、公訴時効というものが定められており、犯罪行為が終わったときから一定期間を経過すると、起訴ができなくなります。時効期間は、犯罪の刑罰によって次のとおり定められています。(刑訴法250条)
1 死刑にあたる罪 25年
2 無期懲役または禁固 15年
3 長期15年以上の懲役禁固 10年
4 長期15年未満の懲役禁固 7年
5 長期10年未満の懲役禁固 5年
6 長期5年未満の長期禁固または罰金 3年
7 拘留または科料 1年
今回は、業務上過失致死罪とひき逃げということですが、業務上過失致死罪は、5年以下の懲役または禁固もしくは100万円以下の罰金、ひき逃げも当時は5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。したがって、公訴時効はともに5年ですから、2008年4月で時効が完成し、罪に問うことができなくなるのです。
ちなみに、現在はひき逃げは、法定刑が重くなり、10年以下の懲役または禁固もしくは100万円以下の罰金となりましたので、公訴時効は7年となります。
ちなみに、刑事事件における公訴時効の他に、民事の消滅時効というものがあります。これは、被害者の遺族が、加害者に対し、交通事故の損害賠償請求をするときに、その請求ができる期間のことです。
民法724条では、被害者は、損害および加害者を知ったときから3年間で損害賠償請求権は時効消滅すると定めていまうす。
今回は、ひき逃げで加害者が誰かわからなかったのですから、この逮捕により、「加害者を知った」ということになります。したがって、ここから3年間、被害者の相続人は、加害者に対して損害賠償請求をすることができます。
しかるべき請求をすべきでしょう。