弁護士は、どうやって事件の内容を憶えるのか?
2010年11月07日
一般事件を扱う弁護士は、平均して50件程度は、常時事件を抱えているだろう。
テレビドラマのように、1件の事件にかかりきりになることはない。
私の場合は、事務所の各弁護士の事件を管理するので、その何倍も多い。
交通事故の事件の訴状を書いている途中に、相続事件の電話がかかってきて、それが終わると、事業再生の打ち合わせに入る、というようなことを日常的にやっている。
「よく混乱しませんね?」
そう言われることがある。
ほとんど混乱しない。それには理由がある。
私たちが扱う事件には、ストーリーがある。私たちは、ストーリーとして各事件を記憶している。
ストーリーとして記憶していれば、いつでもすぐに内容に入り込むことができる。
それは、あたかも連続ドラマを観ているのと同じである。
連続ドラマはぶつ切りである。曜日によっていくつものドラマを平行して観る(私はほとんどテレビを観ないが・・・)
バラエティを観終わったと思ったら、すぐにドラマが始まる。
ドラマが始まった瞬間、視聴者は、前回のドラマの続きに入り込む。
それは、ドラマがストーリーだからだ。
ストーリーで憶えていれば、他のことをしていても、すぐに入り込むことができるのである。
したがって、私たち弁護士も、多くの案件を抱え、全く違う作業をしながらでも、すぐに頭を切り替えて電話に出たり、打ち合わせをしたりすることができるのだ。
そういえば、漫画の単行本の最新刊を買うと、前の巻から読み始める人がいる。それは、ストーリーを忘れているためだ。
それは仕方ない。いくらストーリーであっても、時間がたてば忘れる。
知人の妻は、「ワンピース」の最新刊を買うと、3巻前から読み始めるそうだ。
そのせいで、その知人は、妻より先に最新刊を読めると喜んでいた。
幸せな人だ。