研ぎ立てのナイフのような一杯
2010年06月24日
今さらながら、開高健氏の「珠玉」を読みました。
短編「掌のなかの海」の中で、あるバーで、マーティニを飲む場面があります。発音は「マティーニ」ではなく、「マーティニ」です。どことなくオシャレです。
作り方としては、
「氷を白のヴェルモットで洗い、お余りをいさぎよく捨てる。ヴェルモットの薄膜で氷片を包むという形である。それを手早く水夫用のどっしりしたグラスに入れ、あらかじめ瓶ごと冷蔵庫で冷やしてあったジンを注ぎ、レモンの一片をひねってあるかないかぐらいの香りをつける」
という代物です。
開高氏は、このマーティニを「研ぎたてのナイフの刃のような一杯」と表現します。
読むだけで、食道から胃にかけて、熱いジンがゆっくりと通ってゆく感触が甦ってきます。
マーティニは、ジンとヴェルモットの種類や配分などによって、200種類を超える種類があるそうです。
奥が深い・・・
マーティニと言えば、他には「007」の「ウォッカマティーニ」、いわゆる「ボンド・マティーニ」を好んで飲んだ時期もありました。
これは、マーティニで使うジンをウォッカに替え、シェイカーでシェイクするカクテルです。
いずれにしても、パンチが効いています。
たまに、仕事帰りにふらりとバーに立ち寄り、マーティニのパンチにKO寸前になりながら帰途につくのもよいものです。