自動車運転過失致死傷罪施行
2007年06月12日
2006年6月12日、自動車運転過失致死傷罪を盛り込んだ改正刑法が施行されました。
これまで、自動車を運転して、脇見などの不注意により、交通事故を起こした場合には、刑法211条の「業務上過失致死傷罪」が適用されていました。法定刑は、5年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金です。
ところが、近時、悪質な交通事故や、川口園児4人が死亡したような悲惨な交通事故の発生により、交通事故に対する厳罰化を要請する国民の声が高まったことや、交通事故の加害者に対する判決が法定刑の上限に近いものが多くだされ、科刑上の是正が要請されてきたことなどの理由により、自動車事故に対する刑罰の見直しが議論されてきました。
その結果、業務上過失致死傷罪のうち、自動車事故によるものを抽出して、「自動車運転過失致死傷罪」として規定し、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金として重罰化しました。
個人的な見解ですが、できれば7年ではなく、10年にして欲しかったと思います。窃盗罪や詐欺罪などの財産犯は、懲役10年以下という法定刑が定められています。人の命の重さを考え、せめて財産犯と同等の重さの刑罰にしてほしかったと思います。
この刑法改正によっても、自動車事故の減少という要請は満たされないでしょう。なぜなら、自動車事故の加害者は、まさか自分が加害者になるなどとは思ってもいないでしょうから。