放置車両の個人情報
地方自治体には顧問弁護士はいないのでしょうか。
改正道路交通法では、放置車両の所有者に対して違反金納付命令ができることとなりました。ところで、125cc以下のバイクについては、市区町村に所有者情報が登録されています。
ところが、警察が所有者に通知をするために札幌市などに「ナンバー照会」をしたところ、札幌市などは、バイクの所有者情報は守秘義務を理由に所有者情報の開示を拒否していたそうです。
行政機関は、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」というものに縛られており、個人情報をむやに開示することはできません。
ここで、個人情報とは、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。」(同法2条2項)
ところで、同法律8条は、次のように規定しております。
「行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」
しかし、第三者に提供できる場合もあります。そのうちの1つは、次の場合です。(同法8条2項3号)
「他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。」
したがって、バイクの所有者情報は、個人情報には該当するけれども、警察が道路交通法に基づいてバイクの所有者に弁明の機会を与え、違反金納付命令をするという事務を行うために照会した時は、その照会に対しては回答してよい情報ということになります。
総務省も、地方自治体に対して警察からの照会に回答するよう促しているようです。
地方自治体が回答を拒んだことにより、違反金徴収事務が停滞しています。このような事態を引き起こす法律解釈については、地方自治体は、顧問弁護士や総務省などに照会を行うべきだと考えます。