報酬を与える危険性(報酬の過剰効果) | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
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報酬を与える危険性(報酬の過剰効果)

2024年12月02日

子どもに勉強や家事、片付けをさせたい場合、
あなたは、どういう方法を採用しますか?

「お小遣いなど(報酬を)をあげるから、頑張れ!」
というのが一つの方法でしょう。

仕事で雇用している社員、部下にやる気を出させたい場合、
あなたは、どういう方法を採用しますか?

ボーナス支給を約束するのが一つの方法でしょう。

しかし、ここに落とし穴があります。

こんな実験結果があります。

3歳~5歳の幼児を3つのグループに分け、絵を描かせました。

(1)絵を描くごとに賞品と交換できるチップを与えると約束

(2)何も約束せず絵を描かせる

(3)何も約束せず絵を描かせ、後で絵の数に応じて報酬を与えた

1週間後、何も約束せず全員に絵を描かせたところ、
(1)の報酬を事前に約束したグループのやる気が低下したそうです。

絵を描くことと報酬が結びつけられてしまい、
報酬をもらわずに絵を描く内的動機が低下
してしまった、ということです。

例えば、子どもに何かをさせたい場合、
「100点取ったら、ディズニーランドに連れていく」
と約束して約束を果たした場合、次に「100点を取れ」
というと、子どもは、「100点取ったら、何くれる?」
というような心理状態になる、ということです。

大学生にも実験が行われました。

2つのグループに分け、パズルを解かせました。

(1)3日間報酬なし

(2)1日目報酬なし。2日目報酬あり。3日目報酬なし。

2日目は、両グループとも休憩中にもパズルを解いていました。

しかし、3日目(報酬なし)には、(2)のグループが
パズルを解く時間が大幅に減少したそうです。

つまり、自発的にやる気になっていたとしても、
報酬をもらってしまうと、その作業と報酬を結びつけ、
「報酬をもらっているからこそ、この作業を行うんだ」
という外的な動機になってしまう、ということです。

これを「報酬の過剰効果」といいます。

私達は、他人を動かそうとするとき、事前に報酬を提示しがちです。

その方が説得が楽だからです。

しかし、やりがいややる気が重要な事柄について、
事前に報酬を提示すると、逆効果になることが
あるので、十分に注意しましょう。

報酬を求めるクセが身についてしまうと、
元に戻すに大変に苦労する可能性があります。

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