飲み屋のツケの時効は1年 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
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飲み屋のツケの時効は1年

2010年12月17日

最近はツケで飲む人はめっきり減ってしまったが、それでも「取りっぱぐれた」というよう話をたまに耳にする。

飲み屋のツケ(飲食代金の売掛金)の時効は、1年だ。

1年間、払ってもらえなければ、時効によって消滅し、一切支払ってもらえなくなる。

だから、店側は、1年以内に払わせるよう工夫することになる。

時効にならないようにする方法は、いくつかある。

1つは、「認めさせること」だ。

債務があることを認めたら、そこから、時効は1年となる。

だから「飲食代金10万円の支払い義務があることを認めます」というような念書にサインをさせれば、そこから時効は1年だ。

「認める」ことの2つ目は、いくらか払わせることだ。

10万円のうち1万円でも支払えば「債務があることを認めた」ということになり、そこから時効は1年となる。

だから、店側は、客を訪問し、「1,000円でも2,000円でも払ってもらえるまでは帰りません」と粘って、少しでも払わせようとする。

成功したら、時効が延びる。

「請求書を送っていれば、時効にならないんでしょう?」

と言われることがあるが、それは間違いだ。

請求書を送って時効が延びるのは、1度だけ、しかも6ヶ月間だけだ。

その後はいくら請求書を送っても同じだ。

客がどうしても、認めもしないし、払いもしないときは、どうするか。

その時はやはり法的手続しかないことになる。

裁判を起こして判決を得れば、時効は10年に延びる。

あとは、景気が良くなり、客が復活するのを待つのだ。

悲しいかな、そういう客が復活したのを聞いたことはない。

上記が正攻法だ。

実は、法的手続以外にも時効を10年に延ばすワザはあるが、ここでは言及しない。

ちなみに、芸能人やプロレスラー、音楽の演奏家などの報酬請求権の時効も1年なので、注意を要する。

なんにしても、お金の不払いが発生したら、即回収することだ。

時間が経過すればするほど回収は難しくなってしまう。