小さな気配り
2011年03月03日
知人が、彼女を連れて、実家に戻った。
その彼女は、婚約者なので、親戚も集まってきた。
皆で車座に座り、談笑をして、その日が終わり、また翌日集まることになった。
夜、彼女が知人に対して、言った。
「あなたの叔母さん、一言も喋らなかったけど、私のこと良く思ってないのかしら」
知人は答えた。
「実は、叔母さんは、幼いころ病気をして、それ以来、耳が聞こえないから、喋れないんだよ」
翌日、また皆が集まり、結婚の話になった。
突然、彼女は座布団から降りて正座しなおし、深々とお辞儀をした。
「ふつつか者ですが、よろしくお願い致します」
そして、彼女は、紙切れを耳の聞こえない叔母に渡した。
叔母が紙切れを開くと、
「ふつつか者ですが、よろしくお願い致します」
と書かれていた。
そして、彼女は、叔母の方に向き直り、改めてお辞儀をした。
叔母は、ニコニコして、何度も頷いていた。
知人は、それを見て、彼女を一生大切にしていこうと改めて思ったという。
周りの人に対する細やかな気配り、大切にしたいものです。