子供を不幸にする方法とは?
キツネ君は、自分の子どもをたいそう可愛がっていました。
エサが欲しいと泣けばエサを与え、おもちゃが欲しいと泣けばおもちゃを与えました。
子どもはすくすくと育ち、大人になりました。
キツネ君は、もう歳です。
大人になった子どもは、それでもキツネ君にエサをせがみます。
キツネ君は、子どものためだと思い、老体にむち打ってエサを捕らえますが、ついにはそれもできなくなりました。
キツネ君は死んでしまい、子どもは嘆き悲しみました。
そして、エサは誰もくれなくなり、子どもも餓死してしまいました。
シロクマ君は、自分の子どもを可愛がっていましたが、エサに関してだけは厳しくあたっていました。
ある程度成長するまではエサを与えましたが、ある段階からは与えないようにしました。
エサが欲しいと泣けば、まず自分がアザラシを捕らえたところを見せましたが、そのエサは自分だけで食べてしまいました。
そして、「あそこの氷の下にアザラシがいるよ」と教えました。
子どもは何度も失敗しましたが、ついにアザラシを捕らえることができるようになりました。
子どもがアザラシを捕らえることができるようになると、アザラシの探し方だけ教え、子どもをおいて旅に出るようになりました。
子どもは教えられた方法で生きるために必死にアザラシを探し、捕らえ、生きながらえました。
シロクマ君は、歳をとり、死んでしまいました。
子どもは、嘆き悲しみました。
しかし、その後も、子どもは、シロクマ君に教えられた方法でアザラシを探し、捕らえることによって、たくましく生き抜いていきました。
子供を不幸にするいちばん確実な方法は、いつでも、なんでも手に入るようにしてやることだ。(ルソー)
逆に、子供が将来生き抜いていけるようにするためには、物を与えず、その物を手に入れる思考と方法をたたき込むことでしょう。