夫と息子に洗剤を盛った女が逮捕…その容疑は?
妻が夫と息子に毒を盛って逮捕されるという事件が起きたようです。
怖いです……。
「夫・子供のお茶に洗剤混入…女を逮捕 愛知」(2017年7月19日 日テレNEWS24)
愛知県知多市のパートの女(49)が、同居する夫(46)と子供(11)が飲むお茶に食器用洗剤を混入したとして逮捕されました。
事件があったのは7月15日。
自宅のお茶の味に違和感を感じた夫が台所にカメラを設置したところ、容疑者の女が冷蔵庫に保管していたペットボトルのお茶に洗剤を混入する様子が映っていたようです。
調べに対し容疑者の女は、「覚えていません」と容疑を否認しており、警察は詳しく調べているとしています。
なお、お茶を飲んだ夫と長男には目立った異変はないということです。
こっそり洗剤を混入する妻と、こっそり監視カメラを仕掛ける夫とは、なんともサスペンスな展開ですが、それはさておき、まずは法的に今回の事件を解説していきます。
「刑法」
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
以前、暴行罪と傷害罪の違いについて解説しました。
詳しい解説はこちら⇒
「他人の毛を無断で抜くと傷害罪?切ると暴行罪?」
https://taniharamakoto.com/archives/2329/
法律上、暴行とは、人の身体に向けた「不法な有形力の行使」と定義されます。
また、暴行罪は広義には傷害罪の一種とされており、条文にあるように、相手が「傷害するに至らなかったとき」は暴行罪、傷害を負えば傷害罪となります。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
暴行罪には、過去にさまざまな判例があります。
・通行人の数歩手前を狙って石を投げつける行為(東京高判昭25・6・10
高集3-2-222)
・人の乗っている自動車に石を投げて命中させ、窓ガラスを破損する行為(東京高判昭30・4・9高集8-4-495)
・驚かせるつもりでイスを投げつける行為(仙台高判昭30・12・8判特2-24-1267)
・携帯用拡声器を用い耳元で大声を発する行為(大阪地判昭42・5・13判時487-70)
・食塩を他人の顔、胸等に数回振り掛ける行為(福岡高判昭46・10・11判時655-98)
・通り掛かりの女性に抱きつき帽子でその口を塞ぐ行為(名古屋高金沢支判昭30・3・8裁特2-5-119)
通りすがりの女性に唾や尿をかけたという事件が起きることがありますが、人の体に直接触れなくても、相手の五感に直接間接に作用して不快感や苦痛を与えた場合は暴行罪になる可能性があります。
歴史上、洋の東西を問わず、暗殺の手段として“毒を盛る”ということが行なわれてきました。
気づかれないように食事に少しずつ毒を盛り、それを食べた相手は徐々に体調を壊していきます。
そして、最後には死んでしまうわけですが、こうした場合は身近な者の犯行である場合が多いでしょう。
先日も、千葉県の老人ホームで睡眠導入剤を混ぜたお茶を同僚に飲ませて体調不良を起こさせたり、自動車の運転をさせて交通事故を起こさせたという准看護師の女が逮捕されるという事件が起きました。
暑い夏、食欲が減退します。
山盛りご飯には挑戦して欲しいところですが、毒盛り飲料には気をつけてください。
なさん飲物には気をつけましょう。