皇居侵入は寒い。
1月22日午前4時半すぎ、皇居の中の路上に、下着一枚で男が立っていました。
男は、ただちに皇居内をパトロール中の皇宮護衛官に、「建造物侵入罪」の疑いで逮捕されました。
今朝の4時半の東京は、極寒です。
下着一枚は、寒すぎます。
男は、「天皇陛下に会いたい。お堀を泳いできた」と言っているそうで、警察は、責任能力について調べる方針だそうです。
それは、そうでしょう。正気の沙汰ではありません。
ところで、今回、皇居に侵入したとして、「建造物侵入罪」で逮捕されました。
実は、皇居への侵入については、昔、刑法131条に「皇居侵入罪」という罪がありました。普通の建造物と区別していたわけです。
しかし、この規定は、昭和22年に削除されましたので、今回は、「建造物侵入罪」で逮捕されたわけです。
「建造物侵入罪」は、刑法130条に規定されています。
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する」
今回は、建物に侵入したわけではなく、皇居内の道路に立っていただけですが、「建造物」に侵入したと言えるでしょうか?
この点は、最高裁の判例では、「建造物」には、家屋だけではなく、その囲繞地を含むとされています。
そして、その囲繞地は、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ管理者が外部との境界に門、塀等の囲障を設置したことによって、建物の付属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されていれば足ります。(最高裁昭和51年3月4日判決)
皇居は、外部との境界にお堀が設置され、皇居の建物の付属地として、建物利用のために供されていますので、皇居内の道路は、「建造物」に入るわけですね。
ちなみに、建造物などではないとしても、「立入禁止」と書かれた看板が立てられていることあります。
この場合、そこに立ち入ると、軽犯罪法が成立する場合があります。
条文は、このように書かれています。
「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に至当な理由がなくて入った者」軽犯罪法1条32号
この場合、拘留又は科料に書せられます。
気をつけてください。