女子高生スケッチクラブ摘発
制服などを着た少女をモデルにして絵を描くという形で、下着を見させる「女子高生スケッチクラブ」が流行っているらしい。
この店が、女子高生2人を雇用したとして、警視庁少年育成課が、「女子高生スケッチクラブ」の店長を逮捕したもの。
容疑は、労働基準法違反。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20120223-OHT1T00045.htm
この営業形態は、衣服を脱いでいるわけではないし、女性が客を接待しているわけでもないので、風営法の規制対象外となる。
しかし、労働基準法62条には、次の規定がある。
労働基準法62条2項、3項
2 使用者は、満18歳に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
3 前項に規定する業務の範囲は、厚生労働省令で定める。
これに違反した場合、労働基準法119条により、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となる。
このうち、「福祉に有害な場所における業務」に関して、年少者労働基準規則があり、その8条45号に「特殊の遊興的接客業における業務」というものがある。
過去、女子高生のぞき見クラブが摘発されたことがあったが、その時は、「下着を見せる」ことを前提とした店だったので、「福祉に有害な場所における業務」とされたことから、今回の店は、「下着を見せる店」ではなく、「制服を着た女子高生をスケッチする店」という建前をとり、規制を逃れようとしたものと思われる。
さて、「福祉に有害な場所における業務」と言えるかどうかは、雇用された女子高生の福祉の立場から判断される。
したがって、女子高生が、マジックミラーで一切客側を見ることができず、接触もせず、客と出入口も別で、かつ、「下着を見せることを前提としないモデル」だとするならば、「福祉に有害な場所における業務」とは言えないだろう。
しかし、暗黙の了解ではあっても、下着を見せる、あるいは見られることを前提としたモデル、ということであれば、「福祉に有害な場所における業務」と認定されるものと思われる。
今回は、雇用された女子高生に事情聴取を行った結果、女子高生と店との間に、「下着を見せる」合意があり、「福祉に有害」と判断し、逮捕に踏み切ったのではなかろうか。
ただ、やはり「福祉に有害な場所における業務」「特殊の遊興的接客業における業務」というのは、曖昧な規定であり、もう少し明確化することが望ましいと思う。