増加中の投資詐欺にご注意を!
人をだますのはいけないことだと子供のころから教えられているはずですが、古今東西いつの時代もどこにでも、だます人間はいるものです。
私のところにも、日々さまざまな相談が寄せられますが、近年増加しているものに投資詐欺の被害があります。
投資詐欺とは、文字通り投資に関する詐欺のことです。
主な手法としては次のようなものがあります。
〇架空の未公開株や社債を高額で不当に売りつけて、姿を消す。
〇リゾート開発などの架空のビジネスを持ち込み、違法な勧誘で出資を募る。
〇競馬や競輪、宝くじなどの偽の予想や当選情報を不当に高額で投資名目で売りつける。
〇価値が上がる見込みのない水源地や山林などを売りつける。
振り込め詐欺と同様に、投資詐欺の被害は年々増加していて、その手口も巧妙化しているのが実態です。
今年に入ってからも、さまざまな投資詐欺に関連した事件が起きています。
「6億円被害か、詐欺容疑で男逮捕」(2014年10月29日 佐賀新聞)
国交省が発注する交通量調査事業に出資すれば、元本を保証した上で2~3%の配当を支払うとうそをつき、知り合いの男性に現金2400万円を指定の金融機関口座に振り込ませ、だまし取ったとして、愛知県警は無職の男(58)を詐欺の疑いで逮捕した。口座記録などから、九州を中心に12都府県の少なくとも150人から約6億円を集めた疑いがあるという。
「地下水開発で高配当 架空投資詐欺で7人が再逮捕」(2014年10月23日 神奈川新聞)
山形県の架空の水源地開発事業への投資話で現金をだまし取ったとして、神奈川、千葉、山形、秋田各県警の合同捜査本部は、経営コンサルタントの男(50)ら7人を詐欺の疑いで再逮捕した。7人は共謀し、千葉県の女性(84)に地下水開発で高配当が得られると話を持ち掛け、900万円を口座に振り込ませてだまし取ったとしている。神奈川県警は、グループは約3千人から計約160億円を詐取し、ほかにも仲間がいるとみて調べている。
「競馬で高配当約束:出資法違反容疑…“重い詐欺罪を”告訴」(2014年10月21日 毎日新聞)
競馬で運用して高配当をすると約束し、全国44都道府県の約3000人から、70億円以上を不正に集めた男ら4人を出資法違反容疑で逮捕した事件で、京都や大阪、兵庫、奈良など2府5県の約80人の被害者が計約3億円をだましとられたとして、詐欺容疑で4人に対する告訴状を京都地検に提出した。容疑者らは全く競馬投資をしていないにも関わらずセミナーで宣伝を続け、「預けた金が5週間で2倍になる」などとうたい出資金を募集していた。約330万円を出資したという兵庫県の女性(77)は「最初は支払いがあり信用し、知人も紹介してしまった。途中からうそばかりつかれた」と話した。告訴代理人は「4人は当初からだますつもりで、出資法違反より罪が重い詐欺罪で裁くべきだ」としている。
「“ロト6の当選番号教えます”被害額は約1億円か 詐欺容疑で男2人を再逮捕 警視庁」(2014年8月19日 産経ニュース)
数字選択式宝くじ「ロト6」の当選番号を教えると持ちかけて現金をだまし取ったとして、警視庁組織犯罪対策総務課は大阪市の韓国籍の男(24)らを詐欺容疑などで再逮捕した。男らは滋賀県の男性(66)に、「ロト6の当選番号を購入期限前に知るにはカネが必要だ」などと嘘の話をし、現金計205万円を指定した銀行口座に入金させ、だまし取ったなどとしている。
「“社長は水野晴郎の弟”虚偽で出資募る 映画制作会社に訴訟相次ぐ」(2014年7月25日 産経新聞)
映画評論家の故・水野晴郎さんの弟が社長を務めている会社だとPRされ、出資金をだまし取られたとして、東京の映画制作会社(破産手続き中)に損害賠償を求める訴訟が相次いで起こされている。訴状によると、京都府の70代の女性は平成24年3月ごろ、同社の営業担当者に「配当金は出資額の2倍になる」と勧誘され、映画のDVDやグッズ販売名目で25年5月まで14回にわたり計約2400万円を出資した。しかし配当金は最初の2回しか支払われず、契約解除を申し出ても「システムが故障している」といわれ、対応してもらえなかったという。
さて、これらの詐欺事件、法的にはどのような罪に問われるのでしょうか?
条文を見てみましょう。
「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」
第1条(出資金の受入の制限)
何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。
これは通称、「出資法」と呼ばれるものです。
「私に1,000万円出資してください。私が儲かる投資をします。1,000万円を保証した上に、配当として年10%お支払いしますよ」などと言って、不特定多数の人からお金を集めるような行為をする場合です。
不特定多数というところがキモですね。
法定刑は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科となります。
次に「刑法」を見てみましょう。
「刑法」
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
こちらは、お金をだまし取る場合ですね。
儲かる可能性がないのに、「ラクダに投資すると、今配当率が年50%ですよ」などとウソをついてお金を出資させるような場合です。
こちらは不特定多数である必要はなく、1人を騙しても詐欺罪が成立します。
法定刑は、こちらは重く10年以下の懲役となります。
また、組織的に行った場合は、「組織的犯罪処罰法」により、1年以上の有期懲役(1年以上20年以下)となり、さらに刑が重くなります。
ところで、被害にあってしまった方にとっては、犯人が逮捕され罪に問われることも大切ですが、やはり投資したお金が戻ってくるのが一番大切なことでしょう。
相手の所在がわかり、交渉できるようであれば被害金の返金要求や損害賠償請求の訴訟を起こすことができますが、逃げて姿をくらまし連絡もつかないために泣き寝入りせざるを得ないケースが後を絶たないのも現状です。
被害を未然に防ぐには、まずは都合のいい儲け話は世の中に存在しないことを再確認しなければなりません。
儲け話を簡単に信用しない、会ったこともない人間からの電話での勧誘には応じないようにしましょう。
万が一、被害にあった場合、「恥ずかしい」「家族などに迷惑かけたくない」といった理由で誰にも相談しない人もいます。
そうした時は、1人で悩まず、家族や公的機関、または弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
「間違いを犯したことのない人というのは、
何も新しいことをしていない人のことだ」
(アルベルト・アインシュタイン/物理学者)