自動車運転死傷行為処罰法:「通行禁止道路での危険運転致傷」が初適用!
5月20日に新たに施行された「自動車運転死傷行為処罰法」が適用された事故が、また起きてしまいました。
今回は、「通行禁止道路での危険運転致傷」です。
「通行禁止路でひき逃げ、規定初適用し危険運転容疑で男逮捕 警視庁」(2014年6月4日 産経新聞)
警視庁交通捜査課は、通行禁止道路をバイクで走行してひき逃げ事故を起こしたとして、東京都板橋区の建設作業員の男(28)を自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕しました。
男は5月30日午前8:30頃、北区の区道を時速30キロ超で走行し、同区在住の男性(38)が運転していた自転車に衝突。男性は頭を打つ軽傷を負ったにもかかわらず、救護しないで逃げたということです。
男は、「仕事に遅れるため逃げたが、相手に『行っていい』といわれていた」などと容疑を一部否認
ケガをした男性は、「『行っていい』とは言っていない」と話しており、事故直後に110番通報していることから、同課は容疑者の男が虚偽の説明をしているとみて調べを進めているとのことです。
現場は、児童生徒の登下校時に車両などの通行を禁止する「スクールゾーン」だったということです。
「自動車運転死傷行為処罰法」については以前、解説していますが、
詳しい解説はこちら⇒https://taniharamakoto.com/archives/1236
今回、適用されたのは今までにはなかった新しい犯罪類型です。
条文を見てみましょう。
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」
第2条(危険運転致傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
6.通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
「通行禁止道路」とは、道路標識もしくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいいます。
具体的には、以下のようなものです。
〇自転車及び歩行者の専用道路
〇一方通行道路(の逆走)
〇高速道路(の逆走)
〇スクールゾーンなどで通行を禁止されている場合
この罪が成立するには、通行禁止道路を走行するという認識が必要なため、たとえば、一方通行道路だと知らずに逆走した場合は、この罪は成立しないということになります。
新法の施行後、全国でこの法律が適用される事故が相次いでいます。
ドライバーのみなさんには、今一度「自動車運転死傷行為処罰法」についてしっかり学んでもらってからハンドルを握ってほしいと思います。
詳しい解説はこちら⇒https://taniharamakoto.com/archives/1236