信用できる人、信用できない人の見分け方
私のメルマガ「弁護士 谷原誠の仕事の流儀」からです。
弁護士の仕事をしていたり、交渉術などの本を複数出していることからだと思いますが、時々、「信用できる人と信用できない人の見分け方はあるのでしょうか?」と聞かれることがあります。
私は、そのような質問をする方に対しては、人間を「信用できる人」と「信用できない人」に分けてしまう考え方の危険性についてお話しています。
私たちは、人付き合いをする中で、他人を自分の頭の中にある決まった型に当てはめようとします。初対面の人と話しているときは、「この人はどういう人だろう」と会話の中で探りを入れ、早い段階で、「○○タイプ」という「箱」に入れてしまいます。
しかし、「初対面の印象は最悪だったけど、つきあってみると案外いい人だった」という経験がある方は多いでしょう。また、その逆もしかりです。人間のタイプなどというものはそうそうわかるものではありません。
人をタイプ分けする癖を利用するのが詐欺師です。詐欺の事例をみると、詐欺師は必ず初対面では親しみ易く、悩み事にも親身に対応します。被害者は、「この人は信用できる」と完全に信じ込み、最後の最後で騙されます。
騙しの手口自体を傍から見ると「なんでこんな嘘を信じたのだろう」と思われるようなものも多いものです。最初の印象が疑いの目を曇らせてしまっているのです。
信頼できるか否か、ということは人で決まるのではありません。例えば、お互いに心から信頼しあっていた友人にお金を貸したところ、返済されず、ついには友人関係まで崩壊するという事例はごまんとあります。
「お金を貸したら、あげたものだと思え」という格言や、「友人には絶対にお金を貸すな」と古くから言われるのは、そのような問題が繰り返されてきたことの裏返しでしょう。
「信用できる人かどうか」という問いの立て方が、すでに誤りのもとを含んでいます。
全てあらゆることにおいて信用できる人などいません。
「この人は、お金を借りたら返す確率が高い」
「人を見る目が信用できる」
「仕事を最後までやり遂げる、責任感があるから、この仕事を任せてもやり遂げる確率が高い」
など、人に何かを委ねるときは、その委ねる事柄を個別に見ていくことが重要なのだと思います。
以上です。
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