半沢直樹による大和田常務への強要罪は成立するか?
TVドラマ『半沢直樹』が大ヒットしたおかげなのか、
今、日本では“土下座”がブームらしい!?
そこで本日の話題は、土下座をさせると罪に問われるのか? です。
札幌東署は10月7日、札幌市内の衣料品チェーン「ファッションセンターしまむら 苗穂店」で、購入した商品が不良品だと訴えて従業員に土下座をさせたうえ、自宅に来て謝罪するよう約束させたとして、“強要”の疑いで女(43)を逮捕しました。
女は、土下座をする従業員2人を携帯電話で撮影。画像を投稿サイト「ツイッター」に投稿したことで、ネット上で大きな騒ぎになっていました。
ニュースによると・・・
事件が起きたのは9月3日午後6時ころ。
「しまむら」で「(前日の2日に)購入したタオルケットに穴が開いていた。返品のために店に来るのに使った交通費と時間を返せ」などとクレームをつけ、容疑者の女はパート従業員の女性(32)ら2人に土下座を強要。さらには、自宅に来て謝罪するとの念書を書かせたといいます。
調べに対して女は、「強要はしていない」と容疑を否認しているようです。
一方、2人の女性従業員は、「タオルケットの代金980円は返却。交通費は払えない」と説明すると、土下座を強要されたといいます。
その後、従業員らは容疑者宅へは訪れず、同店が札幌東署に相談。
従業員が9月下旬に同署に被害届を出していたようです。
ネット上では投稿者の容疑者に対して、「不愉快」「非常識だ」などの批判が集中。
「半沢直樹の見過ぎだ」「しまむらが“倍返し”だ」などの書き込みもありました。
さて、その『半沢直樹』。
9月22日に放送された最終回の視聴率は、平成のドラマでは史上1位の42.2%(関東地区平均)。大きな話題になりました。
最終回のクライマックスは、半沢直樹が大和田常務に土下座を迫る衝撃のシーン。
過去、半沢の父に土下座をさせて、自殺に追いやった大和田常務に対する半沢の「倍返し」でした。
(結局、最後は倍返しにもならなかったわけですが……)
それでは、ここで問題です。
法律上、はたして半沢直樹に強要罪は成立するのでしょうか?
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強要罪と脅迫罪の違い
『刑法』には、こうあります。
第223条(強要)1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
条文に当てはめて考えてみると、ヒントは第10話の最終回にありました。
東京中央銀行の取締役会でのこと。
大和田常務に土下座することを求める半沢が言います。
半沢「大和田常務、私との約束、覚えていらっしゃいますね?」
大和田「や、約束?」
半沢「私に以前、もし伊勢島ホテルの120億損失の隠蔽を指示した人物が大和田常務、あなただったら、私に土下座してくださると約束してくださいましたね」
そうです、大和田常務は半沢に土下座の約束をしていたのです。
つまり、大和田常務は半沢に対して土下座をする義務がないとはいえないのです。そして、半沢は、大和田常務に対し、暴行もしていないし、脅迫もしていません。
よって、最終的には半沢への強要罪は成立しないということになります。
感情に任せて、相手に土下座を強要することも、または簡単に土下座の約束をすることも、ドラマの世界ではアリだとしても、現実には御法度ということです。