無銭宿泊は、詐欺罪が成立する
無銭宿泊のニュースは珍しい。
秋田県仙北市の温泉旅館で宿泊代など計約50万円を支払わなかったとして、詐欺容疑で、男女7人が逮捕されました。
ニュースによると、容疑者らは、8月27日~31日まで宿泊したが、旅館側から代金精算を求められたのに、「現金は持ってない」と答え、警察に通報されたようです。
そりゃ捕まるでしょう。
7人もいて、どういうつもりだったのでしょうね。
詐欺罪は、次のような経過をたどります。
・欺罔行為(だまし)
↓
・錯誤(勘違い)
↓
・交付
↓
・財産・利益の移転
今回は、27日の予約の電話時点で、「代金を支払う気がないのに、あたかも代金を支払うかのように騙し」、旅館側は、「てっきり代金を支払ってくれる」と錯誤に陥って予約を受け入れています。
そして、宿泊サービスを提供し、容疑者らは、その利益を得ています。
したがって、詐欺罪が成立する、というわけです。
しかし、お金を持っていて、代金を支払う気がある場合には、詐欺罪が成立しません。
でも、「代金を支払う気があるかどうか」は、内心の問題であり、誰もわかりませんよね。
今回、逮捕されたポイントは、容疑者らが「お金をもっていなかった」というところにあります。
お金もないのに、合計50万円もする温泉旅館に泊まるとなれば、「払う気があった」と言っても信じてもらえないでしょう。
ということは、お金を持っていて、「払う気があったが、サービスが気に入らないから、払わない」と言えば、どこにも騙しが入っていないので、詐欺罪ではない、ということです。
無銭飲食でも同じです。
お金がないのに、飲食店で飲食をして、そのまま逃げようとして捕まると、逮捕されます。
しかし、お金を持っていて、「まずかったから、払わない」と言えば、逮捕されません。
もちろん、サービスを受けていて代金を支払わないのですから、民事上の問題は残ります。
お金を持っていなければ、「払う気がなかった」とみなされるでしょう。
では、飲食店に入り、飲食をした後で、財布がないことに気づいたら?
その場合、理論的には騙す意図がないので詐欺罪ではありません。
しかし、大いに疑われることでしょう。
その場合は、電話して誰かに持ってきてもらうか、手持ちの自分の身分証明になるものを店に預け、念書を書くなどし、騙すつもりがなかったことを伝えるようにしましょう。