議論における「異同」とは!?
2012年09月10日
ポケット版 弁護士の論理的な会話術/谷原 誠
¥1,000
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本日は、この本の中で紹介している議論のテクニック「異同」を紹介します。
裁判で弁護士が使うテクニックです。
たとえば、殺人事件があり、2人を殺した被告人について、検察側が、論告で、
「過去の判例では、2人を殺害した場合には、死刑が宣告されることになっている。したがって、今回の被告人は死刑だ」
と主張したとします。
これに対し、弁護側は、過去の判例と異なることを主張します。
「過去死刑を宣告した例は、強盗の上殺害したり、計画的犯行であったりと、動機に情状酌量の余地がない。しかし、今回は、被害者の方から襲いかかってきて、これに対抗したものであり、動機に情状酌量の余地がある点が明らかに異なる。したがって、死刑を宣告すべきではない」
検察側が「過去の判例と同じだ」
と主張するのに対し、
弁護側は「過去の判例と、●●の点で異なる」
と主張しています。
このような議論のテクニックを「異同」と言います。
次のような小咄があります。
父親「誠、またテストで0点か。隣の英彦君は、100点だったらしいじゃないか。同じ歳なのに、なぜこうも違うのか?」
子「じゃあ、パパは、大統領と同じ歳なのに、なぜ、こうも年収が違うの?」
父親「ううっ!?そ、それは、大統領は国民全体のために働いていて、パパは家族のために働いている。その違いが給料の違いになっているんだよ」
この例で、はじめの父親の主張と子の主張は「同」の主張、最後の父親の主張が「異」の主張です。
この「異同」は、相手の意表をつくことがあるので、テレビを観ていると、お笑い芸人は、この「異同」を笑いにうまく採り入れています。
発見してみるのも面白いですね。