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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

税理士の守秘義務について


2017年10月9日

税理士の守秘義務について解説をします。

税理士法第38条は、次のように規定します。
「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同様とする。」

そして、この条文の解釈について、「税理士法基本通達」は、次のように規定しています。

(正当な理由)
38-1 法第38条に規定する「正当な理由」とは、本人の許諾又は法令に基づく義務があることをいうものとする。

(税理士業務に関し知り得た秘密)
38-2 法第38条に規定する「税理士業務に関して知り得た秘密」とは、税理士業務を行うに当たって、依頼人の陳述又は自己の判断によって知り得た事実で、一般に知られていない事項及び当該事実の関係者が他言を禁じた事項をいうものとする。

(窃用)
38-3 法第38条に規定する「窃用」とは、自ら又は第三者のために利用することをいうものとする。

(使用者である税理士等が所属税理士から知り得た事項)
38-4 規則第1条の2第2項、第6項及び第7項の規定により使用者である税理士又は使用者である税理士法人の社員税理士が所属税理士から知り得た事項は、法第38条に規定する「税理士業務に関して知り得た秘密」に含まれることに留意する。

では、税理士が守秘義務に違反した場合には、どうなるでしょうか。

まず、一つ目は、懲戒処分です。

そして、二つ目は、刑罰です。

税理士法第59条により、2年以下の懲役又は百万円以下の罰金が定められています。

重いですね。

次のような場合には、税理士は、どうしたら良いでしょうか。

・警察から問い合わせがあった場合に、確定申告書等を開示してよいか?

・会社の業務に関与していない社長の妻から、確定申告書等の開示を要求されたら?

・代表権のない取締役から、総勘定元帳の開示を求められたら?

個別の事情に応じて判断しなければなりません。

過去には、弁護士法23条照会に対して、クライアントの情報を開示した行為が守秘義務違反かどうかが争われた事例があります。
(大阪高裁平成26年8月28日判決)

 

税理士資格を有する税理士事務所のスタッフは、税理士法上の義務を負担しませんが、守秘義務を負わせる必要があります。

入社時の誓約書や就業規則などで、工夫が必要でしょう。

詳しくは、ご相談ください。
http://www.bengoshi-sos.com/soudan

税理士が作成保存する会計データの所有権


2017年10月9日

税理士と顧問先との間で、税理士が作成した顧問先の会計データの所有権の帰属が争われた裁判例がありますので、紹介します。

東京地裁平成25年9月6日判決です。

事案としては、税理士が、元顧問先に対し、税理士顧問契約に基づく報酬請求として、43万7940円を請求し、顧問先が反訴として、税理士が保有する会計データ(電子データ)を引き渡さなかったことが債務不履行だと主張し、143万4416円の損害賠償その他の請求をした、というものです。

顧問契約書が締結されており、業務内容としては、以下のとおりでした。

・法人税、事業税、住民税及び消費税の税務代理及び税務書類の作成業務

・税務相談

・総勘定元帳(調査時の出力)並びに決算
会計処理に関する指導及び相談

・上記項目以外の業務については別途協議する。

入力された会計データを出力した総勘定元帳は、依頼者に送付されていましたが、本件は、弥生会計に入力された会計データそのものを依頼者に引き渡す義務があるのかどうかが争われた事案です。

つまり、「会計データ」自体の所有権が、税理士に帰属するのか、顧問先に帰属するのか、が争われたものです。

この点について、裁判所は、税理士が保存していた会計データの所有権は税理士に帰属しており、会計データの引き渡し義務はないと判断しました。

ただし、この判決は、税理士が、入力結果を渡す義務がない、と判断したものではありません。

会計データの所有権のみを判断したものです。

税理士と顧問先との契約関係は、委任契約とされています(最高裁昭和58年9月20日判決)。

そして、民法645条は、「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しています。

したがって、税理士は、受任事務を処理した時は、その結果について報告すべき義務があることは忘れてはいけません。

 

税理士の説明義務が認められなかった裁判例(税理士勝訴)


2016年9月19日

【東京地裁平成27年5月19日判決】

○税理士勝訴

(事案の概要)
個人である原告らが,税理士に、損益通算の可否や不動産買換特定の適用の有無等の税務相談をしたところ,税理士の誤った説明により,税務署からの更正処分等を受けたとし,債務不履行等に基づき,損害賠償を求めた事案。

税理士は、原告らが経営する会社の顧問弁護士でした。

過去に原告ら個人の税務相談に無償で応じたことが数回ありました。

争点は、次の6点

(1)原告らと税理士被告との間の税務顧問契約の有無
(2)原告らと税理士との間の委任契約の有無及びその内容
(3)不動産の売却に関する損益通算に関して,原告らに対して,税理士が誤った説明をしたか。
(4)不動産に関する居住用不動産買換特例の適用に関して,原告らに対して,税理士が誤った説明をしたか。
(5)会計事務所従業員の行為につき被告が使用者責任又は監督義務違反に基づく不法行為責任を負うか。
(6)原告らの損害額

(1)原告らと税理士被告との間の税務顧問契約の有無
⇒否定。

・原告らは、不動産の売却を踏まえた原告らの確定申告についても,税理士に委任することなく行っていた

・他に証拠がない(契約書もないし、報酬も払っていない)

(2)原告らと税理士との間の委任契約の有無及びその内容
⇒肯定。税務相談の委任契約あり。

(3)不動産の売却に関する損益通算に関して,原告らに対して,税理士が誤った説明をしたか。
⇒(1)のとおり契約がないので、義務違反はない。

(4)不動産に関する居住用不動産買換特例の適用に関して,原告らに対して,税理士が誤った説明をしたか。

・税務申告は原告らが自ら行うこととなっており,上記税務相談に関する報酬は定められていない

・具体的なスキームについては税理士が主導的に提案をしていることをうかがわせる証拠もない

⇒税理士の義務は,原告らから受けた情報を前提に居住用不動産買換特例の適用の有無を検討するに止まり,原告らから受けた情報の正確性を検証するまでの義務は負っていない
(5)(6)は省略します。
(この裁判例から学べること)

この裁判例は、税理士と顧客との契約は、契約書がなくても成立することを認めました。

しかし、税理士が負う注意義務の程度は、その契約の内容によって異なる、という考え方も提示しています。

税理士が本格的に業務に携わる場合には、対象不動産、売買、借入等に関する全ての資料を入手し、その資料の正確性を検証し、その上で、税法の要件の適用があるかどうかを検討する、ということになります。

しかし、本判例では、税理士の義務は、「資料の収集」「情報の正確性」は、税理士の注意義務から除外されています。

税理士は、原告らから提供された情報を前提に、税法の要件適用の判断をすればよい、と認定しているのです。

ということは、きちんと報酬を定めて行う税務相談ではなく事実上好意で税務相談であっても、

・契約書を締結すること

・契約書の中で、「税理士は、依頼者から提供された情報を前提に税法適用の判断をするものとし、それ以上に資料収集、情報の正確性等の踏み込んだ検証をしないものとする」等の記載を入れておく、という防御策が考えられると思います。

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