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会社破産と代表者・経営者の法的責任は?


2016年9月19日

会社破産と代表者・経営者の法的責任は?

会社の資金繰りが悪化し、買掛金や銀行等への支払ができなくなった場合、破産手続を選択することがあります。

この場合は、会社は、破産し、「破産管財人」がついて、会社資産をお金に換え、債権者に配当することになります。

では、この場合、会社の代表者・経営者、どうなるのでしょうか?

何らかの法的責任が発生するのでしょうか?

【原則として代表者は責任を負わない】

まず、原則としては、代表者は、会社の債務について支払う責任がありません。

法律では、法人は法人、個人は個人と、「法人格」が異なります。

法人で負担した債務は法人が支払い、個人が負担した債務は個人が支払う、というのが原則です。

したがって、債権者から「会社が払えないなら、社長であるお前が払え!」と言われても、「いいえ、私個人には支払う義務はありません」ということになります。

しかし、例外もあります。

それは、

①会社の連帯保証をしている場合

②経営において悪意または重過失で会社や債権者に損害を与えた場合

です。

【会社の連帯保証をしている場合】

日本の中小企業の金融実務では、会社が銀行その他の金融機関から融資を受ける場合、代表者が連帯保証をするのが通常です。

したがって、会社が銀行から3億円の借入がある、ということになると、通常は、代表者は3億円の連帯保証をしていることになります。

そうなると、会社が破産した場合には、金融機関は連帯保証人に請求することになりますので、代表者の自宅に金融機関から内容証明郵便が届くことになります。

自宅が担保に入っている場合には、銀行等から「任意売却」を求められたり、競売の通知が届いたりすることでしょう。

連帯保証は、「債務者が払えない時は、私が払います」という約束なので、この場合には、会社を破産させても代表者は債務を逃れることはできません。

会社の破産申立と同時に、代表者個人も破産申立をするのが通常です。

そうすると、会社と同じ破産管財人が選任されて、会社の財産の換価と同時に個人資産も換価されていくことになります。

【役員に対する損害賠償】

会社が破産しても、連帯保証をしていない限り、代表者は会社の債務について責任を負わないのが原則です。

しかし、代表者は、取締役として、会社に対し、忠実義務・善管注意義務を負担しています。

つまり、会社をきちんと経営し、損害を与えないようにする義務がある、ということです。

ところが、代表者が、取締役としての職務を行うに当たって,債権者に損害を与えることを知りながら,または,少し調査等をすれば容易に分かったはずであるのに調査等をせずに,不要な仕入れをしたり、不当に安く商品を売りさばいたりなど、明らかに不合理な経営判断をして,会社を破産させた場合には、破産管財人から損害賠償を請求される場合があります。

破産までしない場合は、債権者や株主などから損害賠償請求される場合もあります。

【代表者が破産すると、どうなるか?】

さて、中小企業の場合、会社と同時に代表者も破産することが多いのですが、この場合、どのように進んでいくのでしょうか?

まず、弁護士に依頼して、破産申立をします。

そうすると、破産管財人が選任され、代理人の弁護士と一緒に面接をします。

そして、色々指示をされますので、それに従って破産処理を手伝うことになります。

破産管財人は、会社と代表者の資産をお金に換え、債権者に配当することになります。

自宅が担保に入っている場合は、まず任意売却で売れるどうかやってみて、売れない場合には、担保権者である金融機関等が競売手続をすることになります。

また、破産すると、次のようなことに注意が必要です。

①破産の事実が官報に掲載されます
破産をすると,その事実が官報に掲載され公示されます。

②銀行等の金融機関からの融資が受けづらくなります。
破産をすると,その情報が信用情報機関に事故情報として登録され,5年~7年間は銀行等の金融機関から原則として、融資を受けることができなくなります(預貯金の口座開設や公共料金引落としは可能です)。

③一定の仕事に就くことができなくなります
破産をすると,破産・免責手続が終了するまで警備員や生命保険の募集人などの他人の財産を管理する仕事や,弁護士などの士業,宅地建物取引管理者,旅行業務取扱主任者、商工会議所の会員労働者派遣事業者、風俗営業者等につくことができなくなります。

④原則として20万円を超える財産は処分されます
破産手続は,破産手続開始時の財産を処分・換価して債権者に配当する手続きですから,原則として20万円を超える財産は管財人により処分されます(東京地裁の場合、他の裁判所では運用が違うので注意が必要です)。

⑤郵便物が破産管財人へ転送されます
破産者に宛てた郵便物は,破産手続開始決定の日と同日に,破産管財人に配達することを嘱託する決定がされ,破産管財人に配達された郵便物は,破産管財人が破産財団に関するものかどうか内容をすべて調査されます。

⑥住所の変更や旅行の際に管財人の同意を得なければなりません
破産者が,破産手続中,住所を変更したり,居住地を離れたりする場合(海外旅行,長期の国内旅行)は,その旨を書面で破産管財人に申請し,破産管財人の同意を得る必要があります。破産管財人の同意を得ないで転居等した場合には,免責が許可されないことがあります。

⑦破産管財人に対して説明を拒むことはできません
破産手続が開始された場合,破産者は,破産管財人等の請求により破産に関して必要な説明をしなければなりません。

説明を拒んだり,偽りの説明をした場合には刑事上の罰を受けたり,免責が許可されなかったりします。

⑧その他にも免責がされなかったり,刑事上の罰を受けたりする場合があります
破産財団に関する財産を隠したり,壊したり,仮装譲渡したり,債権者の不利益に処分すると,詐欺破産罪で処罰されたり,免責が許可されなかったりします。
破産者の業務や財産の状況に関する帳簿や書類などを隠したり,偽造したり,変造した場合も同様です。

⑨免責許可決定が確定してから7年以内に再度の免責許可申立はできません

以上のことを頭に入れて、会社を破産させるのかどうか、その際、代表者個人も破産するのかどうか、検討するのがよいと思います。

情報がないと、自分では判断しようがないと思いますので、弁護士に相談が必須です。

ご相談は、こちらから。
http://www.sai-sei.biz/

詐害行為取消訴訟を起こされたら?


2014年12月21日

債務超過にある会社または個人が、財産を贈与など流出させた後、突然裁判所から訴状が届く場合があります。

訴状を見ると、「詐害行為取消」などと見慣れない言葉が書いてあります。

「詐害行為取消権」(サガイコウイトリケシケン)とは、債務者が、債権者に弁済できないことを知ってした贈与などの法律行為の取消を裁判所に請求できる権利です。民法第424条に定められています。

たとえば、債務超過にある会社の社長が、銀行に連帯保証していることから、「自宅だけは守りたい」と考えて、自宅の所有権を妻に贈与したような場合です。

このようなことをすると、会社の債権者である信用保証協会などから、詐害行為取消訴訟を起こされ、自宅の所有権を社長に戻すよう請求されます。

この時訴えられるのは、社長と妻です。

そして、訴訟に先立って、自宅の所有権を、また第三者に変えられないように、「処分禁止の仮処分」がなされることが多いでしょう。
詐害行為取消権の要件は、次のとおり。

(1)その行為によって、債権者に支払う原資となる債務者の総財産が減少して、その結果、債権者に全額弁済ができなくなってしまうこと。

(2)その行為が債権者を害することを、債務者も、転得者(上述の例での妻)も知っていたこと。

したがって、贈与などをしたとしても、残りの財産で、債権者に対して、債務全額の弁済をできるような場合には詐害行為にはなりません。

また、善意の第三者の譲渡したような場合には詐害行為にはなりません。
ということは、詐害行為取消訴訟を起こされた時の防御法としては、次の点を検討することになります。

(1)客観的に債務超過状態と言えるのか
(2)債務者本人は、その行為によって債権者を害することを知っていたのか
(3)転得者(上述の例での妻)は、その行為によって債権者を害することを知っていたのか

このあたりの事情により、徹底的に争うのか、あるいは、和解を狙っていくのか、が決まってきます。

訴訟の見通しと戦略が重要だと言えるでしょう。

ご相談は、こちら。
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“隠れ倒産”が急増中! 経営者が取るべき選択とは?


2014年5月31日

マスメディアでは、アベノミクスによる景気回復が盛んに伝えられています。

実際、そうした流れを背景に、企業の倒産件数は減少傾向にあり、東京商工リサーチが発表したデータによれば、2013(平成25)年の全国の企業倒産件数は1万855件で、前年比10.46%のマイナス。5年連続で前年を下回っています。

また、負債総額も約2兆7800億円で前年比27.44%のマイナスとなっていて、数字上では景気回復が見てとれます。

一方、企業に関係する数字で、この10年で急激に増えているものがあります。

企業の休廃業数です。

「企業の休廃業:中小の“隠れ倒産”10年で倍増」(2014年5月26日 毎日新聞)

報道によりますと、2013年の企業の休廃業(解散も含む)は2万8943件で、この10年で2倍に急増しているとのことです(東京商工リサーチ調べ)。

「隠れ倒産」とは、企業が債務超過などで倒産に至る前に余力を残しながら事業を断念し、自主的に会社を整理することです。

ではなぜ、隠れ倒産と呼ばれる企業の休廃業が急増しているのでしょうか?

主な原因には、①後継者不在問題 ②経営の先行き不安、があります。

①後継者不在問題
近年、特に中小企業の後継者難は大きな問題となっています。国内のおよそ2/3、65%以上の会社が後継者不在問題に直面しているというデータがあります。

後継者不在の原因はさまざまあります。後継者となるご子息がいないケース、ご子息はいても既にほかの仕事に就いている、もしくは起業しているケース、時代が変わり斜陽産業を子供に引き継がせることを断念しているケースなどです。

②経営の先行き不安
業界再編の波にさらされている、人口減少などにより成長が見込めないなど経営の先行き不安を感じている経営者が増えています。

また、中小企業の資金繰りを支援するための中小企業金融円滑化法が2013年3月で終了したことにより、今後、金融機関が融資姿勢を厳格化していけば、債務返済と資金繰りが一気に苦しくなってしまうという問題を抱える経営者もいます。

そうした不安を背景に、事業の先行きを見通せない中小企業の経営者が、従業員の将来を考え、また取引先や金融機関に迷惑を掛けないうちに事業を整理しようという意識が働き会社を休廃業していると考えられます。

好景気だといっても、当然すべての企業に恩恵があるわけではありません。

実際、業績や財務面が依然として改善されないままの企業は今後、休廃業を含め何らかの処置を必要とするタイミングが訪れると考えられます。

経営者、とくに創業者の中には「人生=会社」という方もいます。自分が創業し、苦労してここまで育てた会社を手放す、廃業することは、我が子を手放すような、自分の人生が終わりのような、それほどに思いつめている方もいます。

しかし、資金繰りの苦しみは、体験した人でなければわかりません。大きなストレスから夜眠れないのは当たり前で、体を壊してしまう方もいます。

以前、私の依頼者だったある会社の社長さんが破産手続きの準備中、自殺をしてしまったことがありました。

私は大変なショックを受け、助けられなかったことを後悔しました。

私のところには、会社の再生や廃業の相談に来られる経営者の方が多くいらっしゃいます。

そこで、まずお話しするのは、「目的」は何かということです。

会社は本来、手段であって目的ではないはずです。

経営を通して、自己実現したい、家族や社員を幸せにしたい、社会に貢献したい、お金儲けがしたいなど、目的は人それぞれですが、まずはその目的をご自身で見つめ直していただき、それに合わせた最適な方策をいっしょに考えていきます。

もし会社の廃業という道を選ばれる場合、次のような手順で進めていきます。

1.資産と負債の洗い出し
簿価ではなく清算価値として、自社が今どういう状況にあるのかをしっかりと把握する必要があります。
債務超過になっていないか? 超過金額はどれくらいか? 債務の保証人の状況はどうなっているか? 担保に入っている不動産や在庫などの状況は? など、棚卸しによる現状の再確認がスタートになります。
その上で、お金の流れやビジネスモデルを見極め、どのタイミングで事業をストップするのがベストかなど、スケジュールを立てていきます。

2.従業員の理解を得る
気をつけなければならないのが「人」の部分です。経営者が、きちんと従業員に説明を行い、理解を得ながら進めていくことが重要です。
従業員の整理などは下手をすると労働問題に発展しかねません。ここをおろそかにしてしまったために従業員が離反し、態度を硬化させたことで円滑に廃業を進められなかったケースもあります。

3.経営者保証を外す交渉を試みる
債務超過の問題は大きなネックになります。現実問題、多くの中小企業は債務が重いために廃業したくてもできない状況にあります。
中小企業の債務には多くの場合、経営者の連帯保証がついているからです。
しかし、2013年12月に公表された「経営者保証に関するガイドライン」が、2014年2月から適用開始となりました。
これを受けて、金融機関も徐々に態度を変えてきており、業績が好調な企業に対しては経営者保証を抜く、という対応をし始めています。
経営者として長期的に廃業の可能性を考えているなら、自社の状況を見極めながら、ベストのタイミングで金融機関との経営者保証を外す交渉を試みる必要があるでしょう。


無理なく円満に廃業するためには、時間をかけて、しっかりと準備をしていくことが大切です。

会社が傾き始めてからでは遅いのです。業績が堅調なときこそ、将来についてしっかりと考え、準備を進めていくべきです。

経営者の方の相談に乗っていて、いつも感じるのは、「もっと早く相談してくれていれば…」という思いです。

これは、廃業の場合だけでなく、事業承継や事業売却の場合にも同じことが言えます。

決して積極的に廃業を勧めるわけではありませんが、次世代に負債を背負わせてしまうくらいなら、必要に応じて自分の代で終わりにするという決断をするのも必要なことだと思います。

新たな人生を始めるためにも、経営者の方は、ひとりで悩まず、手遅れになる前に勇気を持って、早めの一歩を踏み出して相談していただきたいと思います。

詳しくはこちら→「弁護士による会社再生・廃業・破産SOS」
         http://www.sai-sei.biz/

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